登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島) 登校拒否も引きこもりも明るい話


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不登校を「問題行動と判断してはならない」
不登校の子どもが「悪いという根強い偏見を払拭」しよう



                     
2018/11/18 月例会資料  内沢 達


上の二つの言葉を発したのは誰でしょう?
「内沢さん」と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、僕ではありません。
僕とちがって有名です。みなさんご存じで、知らない人はいません。
さて?


じつは、僕がこの言葉に気づいたのは遅くこの夏でした。
ネットをしていて文部科学省のホームページで見つけました。


そこで、質問の答えは文科省ということになります。
(「誰?」と聞きながら、「人」でなかったことは、どうかお許しください)


2年前、2016年9月に文科省が「不登校児童生徒への支援の在り方について」と題する通知を発していました。


そのなかで、2か月前の同年7月に、文科省の「不登校に関する調査研究協力者会議」が取りまとめた「不登校児童生徒への支援に関する最終報告」に言及しています。
「報告」においては、不登校児童生徒を支援する上での基本姿勢のひとつとして、次の観点が示されたというのです。


不登校とは,多様な要因・背景により,結果として不登校状態になっているということであり,その行為を「問題行動」と判断してはならない不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し,学校・家庭・社会が不登校児童生徒に寄り添い共感的理解と受容の姿勢を持つことが,児童生徒の自己肯定感を高めるためにも重要であり,周囲の大人との信頼関係を構築していく過程が社会性や人間性の伸長につながり,結果として児童生徒の社会的自立につながることが期待される。


これは、見方の大きな転換です。
文科省に限りませんが、これまで教育界では、「いじめ・不登校」といった言い方も当たり前のようにされるなど、不登校は問題行動の一つと思われてきました。問題行動ですから、当然不登校の子どもは悪いことになります。文科省は、そう判断してはならない、そうした根強い偏見を払拭しようというのですから、これは大きな変化です。


また、一般的な表現であっても「周囲の大人との信頼関係構築していく過程」といった捉え方も大事で評価できます。これまで大人たちの多くは子どもの不登校を心配ばかりして、信頼関係の構築と反対のことに一所懸命になってきました。


文科省の通知は、支援の視点として、次のようにも述べています。


不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。


これまでの不登校対応が「登校」にどれほどこだわっていたか、を考えると、ここにも注目してよい変化があります。最後の「一方で」以降は、これまで通りで問題ですが、その前はいいでしょう。


文科省の調査研究協力者会議の「報告」を中心に理解すると、不登校についてこれからは「登校」にこだわるよりも、「結果として社会的自立につながる」ことに取り組んだほうがいいということになると思います。それは、大人の理解と受容、子どもへの信頼ではないでしょうか。


ところで、先月末のニュースに「不登校児童生徒、過去最多」がありました。
昨年度2017年度の調査の速報値です。小学生が約3万5千人、中学生が約10万9千人、計約14万4千人です。以前最も多かったのは、だいぶ前、2001年度の計約13万8千人でした。この間少子化が進んでいます。2001年度の全児童生徒数は1128万人、2017年度は982万人です。146万人も減少しているのに、過去最多でした。割合では、3年前、2015年度から、2001年度上回るようになっていましたが、今回のニュースは総数でも初めて14万人台になり、過去最多となったというものです。


鹿児島の親の会の不登校についての明るい、前向きな考え方は、板倉聖宣(いたくらきよのぶ。たのしい授業・仮説実験授業の提唱者。2018年2月没)さんの考え方に触発されています。「登校拒否は明るい話」など、この機会にまたご覧下さいますとうれしいです。


不登校について文科省の考えにも大きな変化が見られ、不登校の子どもたちが「過去最多」となっている今、あらためて「大人も子どもも、みんな自分が自分の主人公」の考え方を大事にして、「自分で判断し、自分の興味、考えで行動していく」と今まで以上に前進できるように思います。







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初出:2019.1.4 最終更新: 2019.1.4
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