登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島) 登校拒否も引きこもりも明るい話


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体験談

2012年6月例会より


目次


1 自分を認められるようになり、自分の気持ちに素直になると良い変化が
  まつぼんさん


2 結婚25周年、幸せです   永田俊子さん

3 息子の歯医者通いで大事な教訓(その1)   ちーちゃん

4 家族で支えあうということ(その1)  みーやさん





自分を認められるようになり、
自分の気持ちに素直になると良い変化が


まつぼん
さん



―――お仕事が決まったのね。おめでとうございます。(拍手)


すごく仕事をしたいという気持ちがいっぱいあったのに、なかなか決まらず落ち込んだ時期もあったんですが、どうにかなるわと気持ちを切り替えてゆっくりしていたら、逆に決まったのでびっくりしました。

半年の臨時採用なんですが、県庁内の診療所の受付と健康増進課の仕事です。履歴書を出して2週間後の子どもの誕生日に「決まりました」と電話をもらって、「本当にいいんですか。うれしいです」と答えていました。月に15日出勤なのでぼちぼち行けるかなと思っています。

息子の9歳の誕生日に、家族で息子の大好きなお寿司と唐揚げとケーキでお祝いしました。息子は面接の時、いつも「頑張れよ」と言ってくれたので励みになりました。


―――以前喘息がひどくなって勤務先の病院を辞めた時は、お世話になった方達に挨拶もできなかったということが心にひっかかっていたのね。自分の気持ちにすごく素直になれて伝えたら、相手の方も皆さんあなたのことを理解して下さったのね。


その当時は治療もうまくいかず体調が悪くて、精神的にも追い詰められイライラしていました。親の会に参加するようになって、自分の考え方が変わって来て、どんどん自分を認められるようになったら、そういうことじゃなかったんだと気づかされて、逆に感謝の気持ちが出てきました。

やっぱり自分の気持ちを素直に伝えようと思って直接お世話になった方に手紙を書きました。そうしたらお電話を頂いて、直接お話しすることができました。いままで伝えることが出来なかったので、それが出来たということが嬉しいです。


―――よかったですね。親の会に出会えて。仕事が決まったかどうかではなく、あなたの気持ちが大きく変化したということがすごいことですね。

初めて親の会にいらした時は、職場で居場所がなくなってしまって、というお話でしたね。だけど自分の気持ちが変わって行けば大丈夫なんだなということですね。「解決の道は自分のなかに」ですね。

再就職先が決まらなくてあなたが落ち込んでいた時に、あなたの夫も仕事を辞めたいと言って、それでますます落ち込んだというメールもいただきましたね。



はい。私も一緒に不安につきあっていたら、不安がどんどん深くなってしまうと気がついて、ふんふんとしか聞かず、何も言わなくなったら、夫も何も言わなくなりました。

今日も午前中に一緒に買い物に行ったり、平日休みの時は子どもと一緒にご飯を食べに行ったり、夜更かしもして、今まで出来なかったことをしています。庭の剪定をしたり、家族で過ごすことがすごく楽しいです。夫も子どもの学校のことは何も言わなくなりました。


―――それもまた素晴らしいですね。以前は夫婦の仲も深刻という話をしたこともありましたが、本当に気持ちが変わって状況を前向きにとらえるようになったら、そんなこともなくなって、今はもうおつれあいさんのことが大好きなのね。(はい)(笑)

人間って単純ですね。ニコッと笑いあえばいいだけなんです。それで心が通いあうんですね。単純がとってもいいんです。

ご両親はどうですか、何も言わなくなったの?



母はまだいろいろ言いにやってきます。今子どもは母と話すのも会うのも嫌なんですが、母は孫に会いたい、声を聞きたいとやってきます。学校に行っていないんなら家で勉強させなくちゃとか、いろいろ・・・。でも私も以前のようにそれに激しく落ち込むということはなくなりました。ああ、また言ってる、という感じで、相手にせずふんふんと聞いてあおりたてないようにしています。


―――あなたの気持ちが平和になって、不安がなくなったということが何よりですね。






結婚25周年、幸せです   永田俊子さん



明日から2泊3日で初めての北海道旅行に行ってきます。母が年賀状のお年玉抽選で当たったものです。札幌に2泊し、レンタカーを借りて支笏湖や富良野方面に出かける予定です。


―――北海道は一番いい季節で楽しみですね。あなたのお母さんも、夫のお母さんも、お近くでひとり暮らしをしているんですね。


86歳の私の母は最近デイサービスに週2回出かけるようになりました。初めはすごく嫌がっていたんですが、行ってみると介護して下さる方が皆さん優しくて、「極楽のようにいいところ」(笑)と気に入っています。母は目が悪いんですが、「新聞を読みましょうか」「落語を聞きましょうか」と、その人に合わせた介護をしてくださいます。近くにいる姉とふたりで交替で看ているんですが、私が留守の時は2番目の姉が宮崎から1週間来てくれます。夫の母も87歳でひとり暮らしなんですが、元気でありがたいです、と言っています。

支援センターの方が母に「娘さん達のためではなく、ご自分のために行くんですよ」と言われた時に、私は以前、朋子さんが「人間は生まれてから死ぬまで幸せに生きて行く権利があります」と言われた言葉を思い出しました。母も最後まで一瞬一瞬を幸せに生きていってほしいと思います。

私も以前のことを考えたら夢のようです。私達は今年結婚25周年なんですが、20周年の時は息子が不登校になって引きこもって、20年目にこんなことが待っているなんて思ってもいなかったよね、と夫と話したことを思い出しました。


―――じゃあ、その後の5年間は、幸せって自分の手の中にあるんだと気がつく夢のような毎日でしたね。(笑)


この5年間は親の会と出会って幸せです。


―――今は木藤さんから電話が来たら、以前のように、「何もしなくていいんですよね、このままでいいんですよね」とは聞かなくなったのね。(笑)


はい。以前は毎月例会の案内の電話をもらうたびに「本当に私は何もしなくてもいいんですよね」と確認していました。「永田さんは何かしたいの?」と聞かれて、何もできないし、「何もしなくていいんですよ」といつも言ってもらっていました。

初めは、息子は外に出ませんでしたし、生きる力もどんどんなくなって行くんじゃないか、と心配でした。今は元気に毎日予備校に行っています。自分で起きて私の作ったお弁当を持って出かけます。だから、私たちが旅行にいくので明日から弁当をどうしようか、それを息子は心配しています。(笑)

時々、「なんかわからないけど不安だなあ」と言うので、「不安な時は不安な自分を認めたらいいんだって」と親の会のフレーズをいっぱい言っています。(笑)


―――お仕事をしているのね。


はい、パートで働いています。息子が不登校になった時は息子が学校に行くと言った時にすぐに連れていかないといけないと思って、半年間休んでスタンバイしていたんです(笑)。働く気にもなりませんでしたし。でも半年経って、また同じところで働き始めたんです。

私も「息子は学校に行きたいけれど行けないんだ」とずっと信じ込んでいました。だから私は「行け、行け」と言って。息子も行かなくてはいけないと思っているから、制服に着替えて玄関までは来るんです。でも体が硬直して1歩が踏み出せなかったですね。今は本当に行きたくなかったんだとわかります。


―――あなたの未練や不安がなくなってよかったですね。


よかったです。何もこだわらなくなったらこんなに楽なのかと思います。


―――北海道旅行はいいご褒美ですね。






息子の歯医者通いで大事な教訓(その1)  

ちーちゃん




先月息子が歯の治療に行き出したとお話しました。私が「治療にどのくらいかかりますか」と聞くと、6ヶ月くらいかかると言われ、息子に「日にちを詰めて、どんどん予約していいかな」と聞くと、「いいよ」という返事でした。それで月、水、金の週3回入れたんです。そしたら息子が「僕は今までずっと引きこもってたんだから週3回も通えない」と言い、それで週2回にしました。

息子は昼夜逆転の生活なので、私は1時間前に2階の部屋に行き「歯医者さんに行くよ」と声をかけ「行くの、行かないの」と聞いて下におります。息子が下りて来なかったので、もう1回息子の部屋に行ったら、息子が「なんかさぁ、この光景は前もあったよね」と言いました(笑)。

私は「前の光景とは違うよ。これは歯医者通いで、あなたの歯のことなんだから、あなたが行くと言ったら連れて行くよ。どうするの?行かないのだったらキャンセルしないと迷惑がかかるんだから、あなたが決めなさい」と言いました。

でも私も「ああ、似ているなあ」と思って(大笑い)。
1回はギリギリ行ったんですが、2回目はこの会話に疲れてしまって、最終的には本人が行けないと言ったのでキャンセルしました。

私も息子を連れて行くついでに自分の歯を治療しようと思って予約を入れていたので、「お母さんは治療に行ってくるね」と言って出かけました。帰って来た私に息子は「先生は何か言っていた?」と聞いてきたので、「体調が悪くて来れませんでした。すいません、と言っておいたよ。次の予約の時に行けば大丈夫だよ」と言いました。本人も前回の治療で歯の神経を抜いたので、そのままにしておくと悪くなるんじゃないかと気にしていたようです。昔のような失敗はしないぞと思いつつ、頭の中ではグチャグチャになっています・・・。(笑)


―――話しながら自分でもおかしいなと思うでしょう。(笑)


おかしいと思います。歯医者と学校は違うと思いつつ、でも何か追われているような気分なんです。八方塞がりの状況でしたから、今日は皆さんのお話を聞いて少しは落ち着けるかなと思って、期待してきました。(笑)


―――「(親が)しないと(子どもは)するようになる」。(板書)これはいろんなことに当てはまります。先月の例会で、あなたは、息子さんから「歯医者は家から遠いところにしてほしい」と言われて、調べて予約を入れました。そして事前に歯医者を訪ねた、と言われましたね。「家から遠いところ」という時点から息子さんは無理をしています。今日お配りした先月の例会の様子について、私のコメントのところを読みます。

……歯医者に行くことが「動き出した」と言えるかな。お母さんが歯医者の手配をし、それも家から遠いところというような条件まであって。事前に説明に行くのもやりすぎです。
子どもは本当に必要なら自分で自分からやります。自分で決め自分でやったことは、うまく行っても行かなくても、それが「生きる力」になっていきます。それを親がしてしまうことは、子どもの生きる力を阻害していくんですね。


先月紹介された息子さんとの会話、「お母さん、幸せ?」「うん、幸せ!」といったやりとりや言葉を大事にしてください。「自分は幸せ」と毎日感じられる生活をすることが大事ですね。

「どうするの?」「迷惑かかる」「あなたが決めなさい」「お母さんは行くよ」の一連のフレーズは、「僕も行く」と言ってほしい、という気持ちがありありですよね
(笑)。息子さんが歯の神経を抜いたままだと悪くなると思うのは息子さんですね。息子さんが自分で予約も通院もする。「“しない”と“する”ようになる」は、応用ができるんですね。「もし行きたいんだったら、今度は自分で予約をしてね」と言ったらいいですね。まだまだ「息子のことが不安なんだな」「息子のことを心から信頼していないんだな」と気がつく絶好のチャンスですね。

今日お配りした内沢達の資料のように「予想を立ててやってみる」といいですね。人に言われたからそうするんでは、自分の大事な教訓になりません。あなたが自分自身のことに取り組んでみて、自分の気持ちが楽に自然になっていったら、その行動は間違いなくいいことです。でも、そうじゃなければ次からは予想を変更するといいんですね。


息子さんのことが気がかりな「もう一人の自分」も否定しないで認めてあげましょう。そのうえで、予想を立てて取り組んでみたらいいんです。

歯医者に連れて行くことが、自分も息子さんも気持ちがよくてうまくいくようだったら、その予想はよかったんです。そうではなく、うまくいかないようなら、その予想は外れだったのですから、もうその取り組みはやめましょう。次からは、予想を変えるのも自分で変えればいいんです。予想を立てたのも自分なら、予想を変えるのも自分です。予想変更は自分の進歩に飛躍をもたらします。

これまでにも大事な教訓があると思います。子どもがどんなことを嫌がっただろうか、どんな時に辛かっただろうかと思いだして、歯医者通院にも応用したらいいですね。子どもの本心ではないことに親が「協力」すると、子どもの辛さに手を貸すことになり、わが子をますます追い詰めていきます。レンタルビデオ店や図書館や床屋のことなどにも言えます。






家族で支えあうということ(その1)  みーやさん



先月の例会から今月の例会までの1ヶ月間すごく幸せでした。
週に一回は飲み会もあって楽しかったです。

私はささやかですけど、NHKの朝ドラが好きで、それを見終わってから出勤するという規則正しい生活が出来るようになったんです。夜は、また11時から再放送があるので、それを観て(笑)、それが終わったら韓国ドラマが12時まであるんです。実は私は以前から韓ドラにはまって、「冬ソナ」に出ていたパク、ヨンハが鹿児島の中央駅に来たときは、時間休を取って行ったんですよ(笑)。それぐらい好きだったのがいつの間にか生活に追われたり、なんとなく観なくなっていたんです。「朝も観たよ」と言われるんですけど、1日の締めでもう一回観ます。(笑)


―――そういうことを言えるあなたが素晴らしいです。


すごく楽しくて、そういうことで子どもも問題なく普通に穏やかにカードとゲームを楽しんでいます。


―――先月、あなたは家族で広島旅行をしました。あなたのおつれあいさんは、行きたかった岡山を変更して「いいよ」と言ってくれ、あなたは気持ちが楽になったと言われていましたね。

先月の記録に、私は「家族4人で旅行を楽しんで何よりでしたね。それ以上に、おふたりが楽しいという気持ちを伝え合えたことがとっても嬉しいです。これからも気持ちが通い合うことを大事にしてください」と書きました。



6月に小5の次男の宿泊学習が3日間あって、金曜日が振り替え休日でした。私は仕事で、長男と次男が家にいたんです。1時ぐらいに長男から電話がかかってきて「弟の様子がおかしい。熱が38度もある。可哀想」と言いました。私は仕事が立て続けにあって、結局夫に電話して病院に行ってもらったんです。その時に、悔しいけど、やっぱり夫がいないと駄目だなと思いました。(笑)

(―――良かったじゃないですか)やっぱり助けてもらわないと駄目なんだなと思ってですね(笑)。その時も「ありがとう、助かった」と言いました。


―――今日も再度「ツレがうつになりまして」を配りました。達の文章の要点は「いま現在のどんな自分も肯定する。今の自分を『そのまま』認める。『そのまま』は『そのまま』だけど、『治らなくていい』と思えるようになったら、治っていったように『そのまま』にとどまっていない」です。

自分のことはもちろん、息子さんのそのままも夫のそのままも認める。すると「そのまま」じゃなくなっていくんですね。必ずいい方向に行くことを息子さんのことで体験しましたね。だからあなたの思いもおつれあいさんに伝わるんですよね。あなたは仕事がとっても好きだということも言われました。



4月に仕事が変わって最初は大変だったんですけど、今、落ち着いたというのもあります。今週は出張で3日間種子島と屋久島に行かないといけないんですけど、そこで、今、予想を立てていることがあります。

長男は全然気にならない、自分でやっていけると思うんです。次男が学校に行っているので心配なんです。夫は朝起きてご飯を作って食べさせて送り出すというのは出来ないと思うんです。

去年私が出張の時は、次男は近くの親戚に預けたんです。その時は私の母も元気だったので、長男はお祖母ちゃんに預けたんです。今回は母もきついから、長男も家に居ると言ったので、それはいいんですけど、次男をどうしようかと思ってですね。


―――すごくいいチャンスですね。「お母さんはいないから、三人で力合わせてやってね」と言って、木藤さんみたいに何にもしないで出て行く(笑)。そうやって予想を立ててやってみてはいかがですか。


私の予想は、夫も仕事を休んで次男も学校を休むんじゃないかと思うんです。(笑)


―――いっそう家族みんなが仲良くやれるチャンスですね。困ったときは何でも家族で支えあえるのね。そういうことって家族にとってすごく大事ですよね。
「朝から幸せです」というお話が聞けてすごく嬉しいです。以前、絶望的だったと話していたあなたが、今こうして幸せと言えるようになった。すばらしいですね。「解決の道は自分の中にある」ということを、ちゃんと分かってこられたんですね。



家族に任せてですね。信頼して。


―――そうです。「何にもしない」ですよ。



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最終更新: 2012.9.11
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