TOPページ→ 体験談目次 → 体験談 2004年12月発行ニュースより
11月例会報告 「自分の人生」を大切にする お母さんに「みてごらん」と言われて、はじめてHPを見たとき、涙があとからあとからあふれて止まりませんでした。 こんなふうに私のこと理解してくれているところがあったんだ・・・。 Jちゃんは、2年前のことをそう言ってくれます。 漆黒のトンネルから一条の光を見た思いだったのでしょう。不登校やひきこもりの辛さが伝わってきます。 どんな情況であれ、「自分の人生」を大切にする、激しい自己否定のなかでも、人は必ず自分を大切に生きることを望んでいます。 家族の愛がその辛さや疲れを癒します。 Kさんは子どもたちが辛さに向き合っていることを「自分の心を育てようとしている」と言います。 子どもたちのそんな姿をみて、大人たちも自分を大切にしていくことに気が付いていくんですね。 家族の関係の中で、幸せを感じることができるようになっていくんだとしみじみ感じた例会でした。 1.家族の関係をひとつひとつ大事にして Bさん 2.親子ケンカで互いの気持ちがわかるね Jさん 3.親の会での夫婦の関係を再発見 Mさん 4.縁あって家族 でも基本は「個人」だよね 山口愛美さん ―――(内沢朋子)(世話人):先月の会報に南日本新聞の「南風録」を紹介してあります。( こちらで紹介してます→) 書かれた方は、御自身のお子さんも不登校でした。 今、東京の支社長をしておられます。転勤していかれた会員のHさんを通じて、この記念誌を読まれ感動して書いてくださったんです。 とてもいい内容で感謝しています。 今、記念誌は220冊が全国の皆様のお手元に届いています。周りの方やご両親におすすめいただきたいと思います。 私は体験談ほど素晴らしいものはないと思います。 どの本にも勝るものだと思います。実体験は共通するものがたくさんあるし、だから感動をよぶんですね。 ですから多くの方に読んでいただきたいし、多くの方にこの本の素晴らしさを分かって頂きたいと思います。親の会の素晴らしさを分かって頂きたいと思っています。 親の会のHPのアクセス数が2年半で27万件を越えています。HPを読んで非常に助かった、救われたとか、眼から鱗です、とご注文があり、感想を言ってくださっていることに感謝したいと思っています。 今日は書籍の所に、体験者の話を聞くという意味でも、子どもたちが書いた「僕らしく、君らしく、自分色」、「心配しないで不登校」などがあります。当事者の話を聞く、当事者から学ぶというのはとても大事なことだと思っています。 この中に追い詰めた親から自分を守るために、子どもが自室に閉じこもったという体験があります。 その後、ご両親が親の会に行き始めた。 今まで学校へ行け行けと言っていた親が親の会に行って、そうするとドア越しに親の変化がわかると言うんですね。 そのオーラが伝わってくると言うんです。 そして子どもはドアを開けて自分の部屋から出て行った。親が変わるということはすごいことだな、それを子どもが肌で感じるのはすごいことだなと、私はこの本を読んで感動しました。 子どもは直感で信頼していくんですね。あわせて是非読んでいただければと思っています。 今日は資料を用意しました。私たちのHPの掲示板に書き込んだkaito君とじぇりさんの文章です。 kaito君が、夢や希望ややりたいことって何だろうかということで書いているんですね。
これはとっても大事なことを言っているんですね。 以前NHKの「クローズアップ現代」で早稲田大学の学生に「君は何をやりたいの?」と聞いたら、大部分の学生が「自分は何をやりたいか、どんな職業につきたいか分からない」という返事をしたというのがありました。 それから、好きなことが見つからないから就職活動をやめていくという学生も多いというんですね。 自分は社会に出て何をやりたいのか分からないのが今の現状なんだよと。 私たちの若い時代は、学校を卒業したら即就職で、すごく就職に焦った時代がありました。 私なんか卒業しても職が全くないわけですよ。 北海道は雪はあるけど就職口はないとね(笑い)。 その時私の母は「どうして就職口はないの?」とか一言も言わなかったんです。 私は今でもそのことはありがたいと思っているの。 私は6人姉妹の一番下で、私にあまり関心がなかったのが実情で、「母さんは自分のことで忙しいのよ」という母親だったんです。 例えば私が「母さん、あれ買ってこれ買って」と言うと、母は「そんなに朋子にいろいろ買ってあげたら、母さんの遊ぶ金がなくなる」ときたもんですね(笑い)。 そういう母親の娘が私ね。ちょっと話がそれましたが。 結局ね、自分の夢を持ちなさいとか、やりたいことをやりなさいとか好きなことがあるんじゃないのって、これぐらい辛い話はないんですね。 夢って何だろうか、夢のない人は人間じゃないみたいにそういう価値観があたりまえのようになっているし、イコール職業と考えている。それが夢だとしたら私は大きな間違いだと思うんです。 「クローズアップ現代」の中でも言っていましたが、自分の見たり聞いたりした体験の中でやりたいことが膨らんでくるんです、枝が出てきて、葉っぱが出て実を結んでいく。 体験の中でひとつひとつ「あっ、こうだな。私はこんなことやりたいな。こんなことしたら楽しかったな」ということを自分の中に感じて、発見して、そして生まれていくものですし、そしてそれがいやになったら、思い切りよくUターンしても構わないと、それは私たち大人でもそうです。 たったひとつしかない人生を自分の意に反して無理矢理やる必要はない。 だから今、就職しても「やっぱり辞めた」と言って半年や1年以内で辞めていく子が多いんですが、それは自分を大事にしている証拠じゃないか、いい時代だなあと思います。 kaito君はそのことを問題提起しているんですね。 ほんとに大事なことをおっしゃっていると思うんです。 次にじぇりさん。じぇりさんは先月の親の会で「学校に行っていると自分から学びたいというわくわく感を先取りされて、わくわく感をなくしてしまうんじゃないか」と、大事なことを言われたんですけれども、彼女はこういうふうに書いているんですね。
私は2つのとても大切なことを言っていると思いました。 ひとつは「学ぶ」ということ。 自分から学んだことが確かなものになるということですね。 それは私たち大人でもそうですよね。 説得されてではなく自分が納得したこと、学んだことは自分の実になりますね。 もうひとつは、親は何もしないことを彼女は感動を持って体験したわけですね。親は何もしない、それは私たちも「あーせ、こーせ」と言われたら嫌になりますよね。 同じように子どもに何もしない、何も言わない、子どもが自分に責任を持って学んでいくんだな、それがやっぱり一番大事なんだということですね。簡単にいうと、「ほっといてほしい」ということです。 家族の関係をひとつひとつ大事にして Bさん Bさん(母):娘が24歳、息子が17歳で家にいます。 先月家族4人で鹿児島の病院に行きました。 息子が手術をしないといけないんじゃないかというのがあったんですが、2時間待って診察は2,3分で、しかも自分が思うような答じゃなくて、帰ってから「また僕は自動車学校に行った時と同じような気持ちになって、聞き返すことも何も言えなかった」と言いました。 そして2,3日後にも私に「やっぱり僕は何も言えなかった自分が嫌なんだ」と涙を流しながら言いました。 その後数日息子は荒れていて、「僕は死にたくなる。そういうことがある度に自分の身体に傷をつけたくなる」と言いました。 私は「お母さんは、そういうことはして欲しくない。私はあなたの母親なの。そんなことをしたら悲しい。だから絶対そういうことはして欲しくない」と泣きながら言ったんです。 その2,3時間後、息子は台所のコンロのところで火で焼いた棒みたいなものを手にじゅっと当てました。 7センチぐらいの水ぶくれになっていました。 「どうして、お母さんは止めなかったの」と言う娘に、「お母さんは自分の気持ちを一生懸命伝えたのよ、それでもやったんだから仕方ないじゃない。お母さんはあの子のことをそんなに疑ったりしていない。大丈夫だと思う」と言いました。 私たち3人はいつも一緒にいるのでいろんな話をするんですが、その時も娘が息子に「私も17歳か18歳の頃、リストカットをよくやっていた」と言ったんです。 息子は「あんたもしていたの!」と驚いて聞いていました。 娘は「痛いし、お風呂も大変だし、それ以上に心が痛いんだよ、苦しいよ、そして自分を嘲り笑うように“ざまみろ、お前ってこんなことしても、その位の価値のない人間なんだ、そしてさらに死ぬことも出来ないでいる”と、その気持ちとの葛藤があるんだよ」と自分の体験を話して、「自分の心が痛いんだよね」と言うと、息子は「うん」と言っていました。 娘は「私がリストカットした時、お母さんは何も言わなかったけれど、今私の弟であるあなたがそういうことをしたら、私のときよりも辛い! その時のお母さんの気持ちがよく分かる」と言ってくれたんですよ(涙)。 娘は自分がした時以上に心を痛めています。 娘は自分の痛みが分かっているから弟を見ていられないというんです。 そういうことがあったり、娘は父親との葛藤があったりして苦しくて内沢さんにも電話をしました。 その翌日、まだ父親のことで言いたいことがあったのか、伯母さんに電話して「お父さんは小さい頃どんな子どもだったの」と聞いていました。 娘が「私は今、過食して苦しいの。過食というのはただ食べたいんじゃなくて、心が疲れているんだよ」と言うと娘の話を聞いてくれたようでした。 でも「お父さんも小さい時はやさしかった、お父さんがそうなるのはあなた達にも原因があるんじゃない」とも言われましたが、「伯母さんに話した時はすごく緊張したけど、自分の気持ちを言ってよかった」と言っていました。 娘は今、いろんなことを考えて、いろんな人に聞いて、生き方をいっぱい学ぼうとしているようです。 18,19歳のライブに行く頃は突っ走っていて、そんなことはなかったんです。 娘は「昔の方がよかった。今は太って駄目だ」と言うんですが、私は「あの頃は人の話も聞けなかったじゃない、自分がいいと突っ走っていたじゃない、だけど今は自分の心を育てようとしている、それはあなたがすごく成長したことだと思うよ」と娘に言いました。 ―――そういうお話が子どもたちと出来るようになって本当によかったですね。(はい) お父さんと子ども達の関係、あなたと夫との関係で、いろいろあったと思うんですけど今はどうですか? 内沢さんのアドバイスをいただいてから、この会に出かける時やなるべく時間を取って二人で出かけるようになりました。その時は私も子どもの話をしないんですね。 ―――3人ではうまくいくわけですね。 だけど、対お父さんとの関係で、夫が家族の関係で浮き上がっているというか、家へ帰ってきても我が夫の居場所がなくなって、テレビの前でイヤホンをつけて固まっている状態だったでしょう。 そして、娘さんや息子さんがお父さんに何か言うと、あなたも一緒になって言ったり、子ども達の言うことを「通訳」して、ご夫婦の仲もぎくしゃくして、もう別れるとかいろいろあったんですよね。 それでご夫婦の関係と子どもとの関係は違うんだと、だからもっとご夫婦の関係を大事になさったらいかがですかということを申し上げて、それであなたもご夫婦だけで出かけたり時間を取るということを努力されたのよね。 そうですね。 やっぱり問題は自分の気持ちの持ち方なのかなと思って、子どもはもう置いといていいから、そんなにたくさんじゃないけどふたりでドライブして、そんな時は景色や食べ物のこととか普通の話をします。楽しいです。 夫といて居心地は悪くないかなという感じですね。 ―――それはよかった。それはとっても大事だと思うんですね。 誰の問題という考え方ではなくて、自分の気の持ち方、考え方ひとつで良くも悪くもなりますね。 先月の親の会の会報にも書いたんですが、子どもとの関係でどうしても「あなたは分かっていない」とか、お互い言い合うのね。 そうすると自分だってそんなに自信を持っていないのに、「分かっていない」と言われたほうは、「なんだっ」というふうになるわけですよ。 つまり親子喧嘩をしている時には、Kさんが娘さんとお父さんが言い合ってケリを入れたりしているとき、あんまり動揺しなかったでしょう。(Kさん:はい) それはね、私すっごく大事なことだなと思いましたね。 そこに「あなたのやり方はおかしい」と入っていくと、父娘の関係がおかしくなるんです。 親子喧嘩はやらせておけばいいんです。そうやって当事者同士がわかりあえる関係になっていくんですね。 娘さんや息子さんがお父さんに言えるようになったということはたいしたもんだと思います。 それとは関係なくご夫婦の関係をやっぱり大事にしていかないとね。 売り言葉に買い言葉となって、それだったら別れる、来年の春は別々に住むとかね。 エスカレートしていく。そんなになっていくなんておかしいよね。気持ちはまだ離れていないのに。 私は10月の親の会に参加できなかったので、会報を必死で読みました。 夫が子どもと喧嘩すると「お父さん、あなたは分かっていない」というのがいつもあったんですが、読んで「ああやっぱりそうなんだ。そういう時は入っていってはいけないな」って、それをやめようと思いました。 私の母にも「まだ分からないの、お父さんの立つ瀬がないんだよ」と言われていたんです。 私が言わなくなったら、夫は家の中でそんなに緊張しなくなった感じです。 テレビの前でイヤホンはつけてはいるんですが(笑い)、微妙に違うオーラがあります。 親子ケンカで互いの気持ちがわかるね Jさん Jさん:私は先日来、自分が切れやすくてすごい人間とわかり、自分自身びっくりしています。(笑い) 娘はとっても元気になり、内沢玲子ちゃんと仲良くさせてもらっています。 私は夫と別居中で子ども二人と実家で生活しているので、同居の母が遅くまで起きている娘へ小言を言うんです。そういう状況なのに一昨日娘は夜遅かったんです。 せめて夜10時頃までには帰宅してと話していたのに、11時を過ぎても電話もなかったので私が切れて、その後、「今、愛美ちゃんの家にいて遅くなる」との電話。 全然娘の言うことは耳に入らず、自分がなんと言ったかも覚えてないぐらい切れて(笑い)。 娘は12時頃帰宅したんですけど、私は余り興奮して眠れなかったので、眠くなる風邪薬を飲んでその時はもう寝ていました。(笑い) 次の朝気持ちを切り替えて、娘と向き合おうと思っていたのに、娘が「ちゃんとどこにいるか電話するから、遅くなってもいい?」と言ったものですから、もうカァーとなって、「今まであなたのことでどれだけ心配したかわかっている?」といろいろ言ってしまいました。(笑い) 私は夫に苦しめられてきましたので、なんだか娘が夫に似てきてしまったと思ったら、急にお皿を割りたくなって、しかし頭の中では「大きい皿を割ったら、片づけが大変だから小さい皿にしようか」なんて瞬時に考えて(笑い)、それで洗い桶に投げつけたら、桶も割れてしまいました。(笑い) その後娘の顔を見たくなかったので、財布を持って外へ出て3時間ぐらい歩き回っていました。「結構、自分は体力あるな」と確認しましたね(笑い)。 私が帰宅してから母に娘とのけんかを話して、その後ふたりで娘の悪口のオンパレードです。 娘は寝ていたのですが、悪口が聞こえたらしく途中から泣き出していました。 最悪の状態の時に玲子さんが来てくれて「楽しかったから、ひきとめてしまって悪かったです。これから気をつけます」と話してくれたので、私もだんだん冷静になりました。 「Mちゃんの行動は自然だよ」と玲子さんが言ってくれて、母も冷静になっていきました。 玲子さんが帰ったらみんな落ち着き、娘とも話せるようになり平和を取り戻しました。 今、スッキリしました。でも自分を考えたらダメだなあと思っています。 ―――あなたは若い時に夜遅くなることはなかったんですか? あったんですよ(笑い)。 すごく楽しい時に帰らなきゃならない辛さはわかるんです(笑い)。 私の母も私のことをすごく心配して精神錯乱になりかかったから、私はどんなに楽しくても夜10時までには帰っていました。 「そういうふうに、私はお祖母ちゃんのことを考えたのに、あなたは少しはお母さんのことを考えたの」とか、「少しも人のことを考えていない。自分さえ楽しければいいの」とも言いました。 明けて昨日のことなので、私はすごく疲れてしまって、今日、親の会にも来たくなかったのですが(笑い)、放心状態でしたので娘にも「あなただけ行きなさい」と言いました。(笑い) 元気になったのは本当にうれしいのですが、同居の母から「親のしつけが悪い」と責められるのが辛いですね。 ―――若い子は本当に元気になるとエネルギーがあるよね。 うちの玲子は高校時代、朝帰りしてました。朝起きたら、「おはよう」と言って帰ってきました。 だから玲子に「そんな親はあんまりいないのよ。徐々にならしていかないとね」と言ったの。(笑い) 自分の若い頃どうだったかなと考えてみたらいいですね。 私も若い頃、夜中に帰ると、厳しい父だったので玄関には鍵がかかっていて閉め出されたこともありました。 それでもちゃんと犬のいるベランダの鍵だけが開いていて、そこから入ったり、父がりんごをむいて、「これはおいしいから、朋子に食べさせろ」と言ったらしいです。親心ですね。 若い時はエネルギーが旺盛だから。玲子に言わせると、「夜、燃えるのよ」と言ってましたけどね(笑い)。確かに夜の方が燃えるのよね。 人間って追い詰められるとああなるんだなと思って。 親が子どもを殺す事件があるでしょう。その気持ちがわかるなあと思って。(笑い) ―――Kさんのようなご夫婦の関係でも、あなたのような親子の関係でも家族の中で考えるとわかりますね。 あなたは、もっとご自分のことを一番に考えたらいいですね。お母さんに気を遣って、子どもたちとの間で板ばさみになっていますね。もっと自分を大切にしたらいいですね。 そういう環境だからできないのではなくて、自分が疲れているのに、双方の通訳をしようとして間違った通訳をしてしまいがちですね。 家族なんですからお互いを信頼して当事者が直接話し合えばいいことなんです。 余りにも気を遣いすぎると本当に疲れてしまいます。通訳はいらないのです。 それがとても大事なんですね。 私はEさんの手記を読んで、「あんな境地に、いつなれるんだろう」と思いました。 自分は抑えて、抑えてあの原稿を書きましたけど、Eさんは乗り越えて、どんどん本音で書かれてましたものね。(涙) ―――Eさんに書いてもらうのも大変だったんですよ。「今、幸せに暮らしているのでこれが普通の生活だから書くことは何もない」と言われてね。 しかし、お願いしたらあの原稿の倍くらい書いたのです。あなたはまだそこまでいかないけど、必ず自分の気持ちをさらけ出す日が来ますよ 。実名で出しただけでもたいしたものです。ペンネームで書こうかと思ったりされましたものね。(笑い) 書けたというだけでもたいしたものだし、心が外へ出たということでしょう。 娘さんのことで切れたというのも、心が外へ出たということですからよかったと思います。出すことができるということはとてもいいことですね。 Mちゃんは今高校を辞めて、夜遅くまで遊ぶのが楽しくて、楽しくて仕方ないんだよね。(笑い) Mさん:私はなんか早く早くお母さんに「わかってほしい」と思っていたけど、お母さんはわかりたいと思っているのにまだわからなくて、わからないことを気にしていたみたいです。 それで制服や教科書がもったいない、もったいないと思っているのに、口に出して言えなかったみたいです。(笑い) お母さんは自分がわからないのは、「私はダメな人間なんだ」と思っていたみたいというのが昨日わかりました。 お母さんが自己否定して疲れているらしいです。言わないから私はわからなかったんです。 そういうことが言えなかったのは、私が「そんなことを言うな」とバーッと言っていたので、不安な気持ちを抱えたまま、我慢して言えなかったんだと思います。 ―――Mちゃんは「早く帰っておいで」とか、「どうしていつまでも言うことを聞かないの」とお母さんに言われたら、やさしくお返事したいと思っているのに、つい、「うるさい」とか「バカ」とか言ってしまうんだよね。 はい、つい言ってしまいます(笑い)。 お母さんは、お祖母ちゃんに気を遣うので、ゆっくりできないんです。私は自分の家と思っているのに、お母さんは「居候」と思っています。(笑い) お祖母ちゃんが直接私に言わずにお母さんへ伝えて、お母さんから私へ通訳してくるので、お母さんはそれがイヤなんじゃないかなと思います。 ―――本当はもっといろいろお母さんと話したいけど、つい「バカ」とか「うるさい」になってしまうのよね。 それは私と玲子の関係にもあてはまるの(笑い)。 私が追求すると、玲子は「バカが、うるさい、黙れ」となってしまうし、こっちもカッカして大ゲンカです。私も家出したことありますよ(笑い)。 夫ともよく喧嘩して、子どもをおぶって、鹿児島で一番上等な城山観光ホテルへ行き、クリームパフェを注文したりね。(大笑い) そんなことあっていいんですよ。 でもMちゃんは悪いなと思いつつ、楽しく遊びたいのよね。 はい、そうです。玲子ちゃんが言うように昼間行くのと、夜行くのでは気分が全然違うんです。それをお母さんは知ってるはずなのに、私に言ってくるからいやです。 お母さんが「夜10時帰宅」をルールと勝手に決めているのが腹が立つのです。 「一体、10時って誰が決めたの?」と聞くと、お母さんは「それは決まっているの」と言うんです(笑い)。 お祖母ちゃんに気を遣って、若い時のお母さんは10時までに帰ったかもしれないけど、それを私に要求されてもイヤです。 私の世代でそれを変えると思っています(笑い)。 それだったら、一生自分の好きなことを好きな時にやれないんじゃないかと思って。 ちょっと先日はやりあって、泣いて頭が痛くなりました。 そのまま寝ていたら、お母さんとお祖母ちゃんが私の悪口を言っていてそれを聞いたら、ますます頭が痛くなりました。(笑い) 玲子ちゃんが言ってくれて帰った後、お母さんと話し合ったら「お母さんがこんなに溜めていたのか」とわかって。 ―――Mちゃんはほんとうにやさしい子だね。お母さんの気持ちをわかってあげて。 「そんなふうに言われた」と言ったら、お母さんが逆上して「外面ばかりよくて、内面が悪いのはあなたのお父さんにそっくりだ」と言いました(笑い)。 それで言いたいことを私にもお祖母ちゃんにも言えず、溜まりに溜まっていたのが爆発したのかなと思って・・・。 ―――どんな人生でも「人生の主人公は私」なんですね。家族の中での関係では、「私の代で変えてやる」というMちゃんの自己主張があります。 そうやって「私の人生」というものをKさんにしろ、皆さん考えられたらいいですね。「私の人生」を大事にしないと、葛藤が起きてトラブルが発生しますね。「私の人生」というのを常に頭において生きる、それが基本だと思います。 子どもは子どもの人生を生きていく、不登校しながら、ひきこもりながら・・・。そのことを大事にするというのは、自分の人生をも大事にするということですね。 お母さんが切れて、皿を割ったというのはとてもいいことですね。 我まんしないで自己主張したということですね。 Mちゃんの「夜10時までを私の代で変える」というのもいいです。葛藤があっていいのです。それが家族です。お互いに遠慮しないで暮らすのが家族です。 後はお互いが納得するルールを作ったらいいですね。 Mちゃんはどこに行くか、今どこにいるか、帰る時も必ず電話するとかね。 ルールを守りながら「私の人生」を生きていけばいいのですね。 Mちゃんもいい勉強したじゃないの。お母さんが家出した時、すごく心配したのよね。「私は捨てられるんじゃないか」とか、「お母さん、自殺するんじゃないか?」ってね。(笑い) お祖母ちゃんとのこともお母さんを介さずMちゃんとの関係でやりあえばいいのです。 気を遣うので疲れるんですね。 それは、あなたがお祖母ちゃんを信頼していたら出来るんですね。何か通訳しようと思うから疲れるんです。 「約束だよ、約束だよ」と相手の同意なしに一方的に決まりを押しつけても通用しません。 それは学校の校則と同じですものね。 お母さんも落ちついて少し余裕があったらね、わかると思いますよ。 母:私、少し余裕がなかったみたいですね。(―――そうですね。) 親の会で夫婦の関係を再発見 Mさん Mさん(夫):現在17歳の息子が中3から不登校で家にいます。 テレビをよく見ていて芸能番組はとても詳しいです。 親の会に参加して半年経ちます。 夫婦で来ることが多いので、夫婦仲がいいと思われる方もいらっしゃると思いますが、私が参加する主たる理由は、前半にもありましたように、ここでは父親が異様な言われ方をするので(笑い)、私が欠席すると妻が何を言うかそれが心配で。(笑い) 先ほどの、家族の中で夫婦の関係と親子の関係は別というところは大事だと思います。 我々夫婦も子どものことを話すことはあっても、夫婦のことを話すことはまずないですね。 結婚当初はふたりきりだけど、子どもが出来ると子どものことを話題にして夫婦間をつくるという形が一般的だと思います。 ここは親の会だから、皆さん親子関係があるのだけれど、例えば世間には子どもがいない夫婦もたくさんあるわけで、想像できないけどふたりだけでずっと暮らしていらっしゃるところはどんな感じなのだろうと興味があります。 家では、私は妻に高圧的な言い方をするし、自分でもこれはおかしいなと思ってもそれを素直に謝ることもないので、妻は私に対する不満を溜めているのが分かります。 ここに参加しないと、我妻は堰が切れて何を言うか分かりません(大笑い)。 それが怖くていつも一緒に来ます(笑い)。 妻は「あなたは外面はいいけど、家では亭主関白だ」、「何か言い返そうとしても、あなたの方が理屈っぽくて言葉が巧みだ」と。そうとう不満が溜まっていると思います。 ―――反省していらっしゃるという、ごめんねと。 はい、まあ、そういう気持ちはあるんだけど、やっぱり口では言えません。 (―――言えないけどそういうお気持ち) だから、今日ここでちょっと言えてよかったかなと(笑い)。 これまで振り返ってみて、妻と話すことと言えば子どものことで、親子関係を別にした夫婦としての会話を探しても何もないんです。 ―――そういうことに気づかれてよかったでしたね。 結局、ご夫婦の関係を大事にしていかないとね。親の会で自分を大事にするということが分かると、わが妻も自分を大事にするから自己主張をされるわけで、とても大事な関係なんですね。 Mさん(妻):夫はとても弁が立ち、自分の意見がしっかりしていて、私が何か言っても「それは違う」と言って、受け入れてもらえない場合が多いです。 私はもう言っても無駄だと、最初からあきらめて何も言わないと、「どうして言わないのか」と怒られてしまいます。 年の差が大きいので尊敬しているところも多いのですが。 何事もふたりで話し合って決めていくのではなく、ひとりで決めてしまうので、もう私の意見は必要ないと思ってしまうんです。 夫はそうは思ってないかも知れないけど、近頃私は夫婦の関係で悩んでいます。 ふたりで出かけるところは、ここしかないので…。(笑い) ―――それはとてもよい事ですね。(お蔭様で)(笑い) そういう問題意識をお互いに持ち出してきたということが、それが先ず出発点ですね。 夫:そういう考え方を持てたというのが、親の会に半年参加させてもらったひとつの発見です。 ―――子どものことをどうしようかではなく、やはり自分たちの人生をどうしようかということですよね。 (先ほどのKさんも今は自分の楽しみでいっぱいだと話しておられましたから) そうですね。 そこに先ず気づいたらお互いに大事にしあう、もしも妻が離れたらひとりぼっちになるというのもわかるし(笑い)、夫も大事な存在だと分かるわけですよね。 親の会に参加されて夫婦の関係を大事にしていこうと発見された。 それはとても素敵なことですね。 夫婦の関係の基本はお互いに対等であるということだと思うんです。お互いの人格を尊重しあうことが豊かな夫婦関係が築ける土台だと思いますね。 縁あって家族 でも基本は個人だよね 山口愛美さん 山口良治さん:Gんのお話で、自分も最初のころはそうだったなと思い出していました。 やはりそんなふうに心配したり、不安になったりしますよね。 この頃は娘に叱られることばかりで小さくなっています。(笑い) Mちゃんがうちに遊びに来て、帰りが遅くなって心配かけたと愛美が言ったので、「そりゃ、女の子だから親は心配するんじゃないの」と言ったら、「じゃあ、お父さんは飲み会で遅くなったとき、私に何時に帰ると電話したことないでしょう」と逆に言われて、何で俺はこんなこと言われないといけないのかと思ってしまいました。(笑い) (―――今、親子の力関係は愛美ちゃんの方が強いんですね) そうですね。 この頃はなんか知らないけど、突っかかってきます。 掃除、洗濯もしたら、ふとんも上げてもらいたいなど、あれしろ、これしろと言われて、「俺は一生懸命稼いできてるんだ」とポロッと言いたいくらいです。 (―――とてもいい親子関係ですね) そうは言っても会社でたいした仕事もしていないし、帰ってくると愛美がおいしい晩御飯を作ってくれているから、それが代償です。(笑い) ―――愛美ちゃんは高校2年で中退でしたね。 過食して苦しんだりしていましたが。今21歳で、お父さんとふたり暮らしです。 山口愛美さん:お父さんは掃除も洗濯も何も出来ないから教育しないといけないんです。(笑い) (―――愛美ちゃんは魚を三枚身に下ろせるんだもの、すごいよね) 毎日やってると身につくからね。お母さんたちが毎日やってるのと同じかな。 ―――愛美ちゃんは自分の人生だから大事にしていこうと思ってるんだね。 過食した時にいろいろ言われて辛かったおばあちゃんと離れて暮らすようになって、自分を大事にしようと思ってきたけど、やっぱりお父さんは仕事で大変だし、だから私ももうちょっといい子にしようというのがあったのね。 だけど、お父さんはお父さんの人生だし、私は私の人生だし、縁あって家族をやってるだけで、基本は個人なんだなと思うようになり、お父さんが心配するからしないとか、お父さんに気を遣ってこういうことはしないとかいうのはやめようと思っています。 ―――愛美ちゃんの親離れの大事な時期ですね。 良治さん:だからこの1月半くらいで違うのよね。ああ、変わってきたなと。なんか俺が悪いことしたのかなと。(大笑い) (―――子離れをしなさいということなのよね) |
Last updated: 2004.12.17
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