登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島) 登校拒否も引きこもりも明るい話


TOPページ→  体験談目次 → 体験談 2005年1月発行ニュースより



体験談

2005年1月発行ニュースより。
登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島)会報NO.108


登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島)では、
毎月の例会の様子をニュースとして、毎月一回発行しています。
その中から毎月2割から3割程度をHPに載せています。


体験談(親の会ニュース)目次はこちら→



 NHKで親の会が放映されます!!

 
例会の様子、Kさん親子、山口さん親子、内沢インタビュー等紹介されます。楽しみですね。
 
 12月の例会はNHKのカメラ隊も入って、楽しい雰囲気で行われました。
やっぱり親の会がないとねと感動をわかちあって・・・。詳しくは本文を読んでね。
 
報道された後、ごらんになりたいかたは、親の会にメールくださいね。





 
1.自分をごまかしていた高校時代、今すっごく幸せ maiちゃん
  私が安心すると、お祖母ちゃんも安心していくんですね Jさん


 2.私も辛かったのに、親を気遣ってしまうんだよね。 山口愛美さん

 3.
人生ってたくさんの生き方があるんだな! 内沢玲子

 4.我が子からひどい言葉を言われた という話をうけて・・・ 内沢達

 5.娘のおかげで家族が幸せに。 夫婦の時間を大切にしています Gさん




―――内沢朋子(世話人):今日は事前に皆様にお断りしましたようにNHKのテレビカメラ隊がいらしています。
南日本新聞の南風録
を見て記念誌を読み、親の会に注目してくださいました。
こんなすばらしい会があるんだよと紹介してくださるのです。



 1月に3分半で、その後20分の特別番組みで放送されます。
私達の会が紹介されるということは本当に素晴らしいと感謝します。
 今日の4時間の話し合いの間カメラが回りますが、例会の様子はその5分ぐらいだと思いますので(笑い)、あんまりカメラを意識しないで、毎月の例会と同じようにお話してくださればと思います。 



 最初にNHKの報道番組で学習します。
HPのケンジイサンの書き込みをコピーして皆さんのお手元にお渡ししました。


「どうする子どものうつ病」( ̄m ̄) / けんじい 引用


先週金曜の夜(12月10日)に、NHKのローカル番組(だから九州の人しかみられないけど)題して「九州沖縄リポート・・・どうする子どものうつ病」が放映され、「どんなことを言い出すんだろうか?」と思いながら家族で観ました。



●番組のHPhttp://www.nhk.or.jp/fukuoka/program/report.html
「どうする 子どもの"うつ病"」− ある医療現場からの報告 − 「今、子どもの間でうつ病が広がり始めている。鹿児島市にあるうつ病の専門クリニックでは、小学校高学年や中学生など10代でうつ症状を訴える子どもがこの5年間で5倍に増えた。



両親の離婚や父親の過労死など家庭内の不幸、教師との不仲や友人からのいじめなどうつ病になるきっかけはさまざまだが、不登校や引きこもりも実はうつ病が原因の場合が少なくないと専門家は指摘する。



そうした中、学校現場ではうつ病を予防する取り組みも始まっている。
なぜ、子どもたちにうつ病が広がっているのか。うつ病はどのようにしたら治せるのか。番組では、うつ病に取り組む医療現場に密着し、低年齢化するうつ病の実態とその対策を描く。」



でもって、「なんて荒っぽい創り方の番組だろう・・おかしいなあ」というのが番組をみての僕の感想でした。



例えば、わが子が不登校を選択したことに驚き、未だパニくってる状態にある親御さん・・・僕自身も最初そうでしたが・・いわゆる「不登校の親・若葉マーク」のみなさんが、もし、いきなりこの番組を見たら、わが子は「うつ病」だ・・「病気」だ、治療が必要だ!と思い込んでしまうんじゃないか、と感じたし、もちろん、不登校の親以外のひとたちが見ても同じように考えるんじゃないかと思っておもわずコリャなんだとつぶやいたのであります。・・・。



いうまでもないことですが、登校拒否は病気でもなんでもないのにね。
でも、この番組では、そういう観点からの話は全然されないままに、不登校やリスカ「当事者」のインタビュー場面や精神科医の考え方などが一方的に紹介される構成になってて、ちょと危うい内容だなあと思いました。
 


子どものうつ病が増えているのに、学校や行政側の対応が遅れてる。子どものうつ病をちゃんと認知して対策を急ぐべきだ・・・という流れで「番組」はすすんでいって、予防策のひとつとして、鹿児島の学校に導入されてる「ストレスマネジメント教育」の実践例なんかも紹介されてました。



先生の指導のもと、教室で子どもたちが肩を上げ下げさせられている場面をみて、娘は「こんなんじゃ学校のストレスは解消できないよ!」と笑ってましたけど・・。
この「ストレスマネジメント」という手法や「ストレスチェック」など関しては、最近企業なんかでも取り入れるところが多いようで、



そもそも、カウンセリング技法そのものの問題点や「予防的処置」と称する対策そのものがはらんでいる問題なんかについて論じてる、かの名著[心を商品化する社会](洋泉社新書)の4章「予防的心理学的まなざしの浸透」が参考になるんじゃないかなどと・・・とにかく、おかしな番組や偏った情報にまどわされないように、「日頃から機会があれば、まじめに勉強しておかなきゃなあ」と・・・僕はあらためても思ったりもしました。



そして最後に、子どものうつ病が、大人のうつ病につながっていく可能性みたいな話がチラッとされて、最後にシッカリ「脅して」番組は終了しました。



この番組を一緒に見てたうちの娘の最初の感想は、「悩んでいるときに、うつ病だと診断されれば、本人や親が安心するという面はあるんだから、それはそれでいいんじゃナイの。
それにしても、不登校をうつ病につなげることができたら精神科医は儲かるだろうね・・それが狙いじゃないの・・」と、妙に醒めた反応でした。



でもって、「診断名もらって安心するという話は、よくいわれることだけど、病気でもないのに病気にされちゅうというのはどう考えてもおかしいんじゃないの・・子どものうつ病が社会的に認知されれば、本当は病気じゃないのに、病気にされて治療のために投薬を、となれば、抗うつ剤やら安定剤やらがどんどん売れて、薬づけの子どもがたくさん生み出されるんじゃないか・・やっぱしこれはヤバイんじゃない・・」などなど親子でやりとりしました。



いろんなケースがあるでしょうから、精神医療の全部を否定するつもりはありませんが、「診断基準」の怪しさついては、前にここでも町沢静夫のことなんかで少し触れたように大いなる疑問が僕には残っていて、、この「子どもうつ病」の基準についても基本的には同じ考え方(ここも、もう少し勉強してきちんと批判していく領域ですけど)を採用してるようですので、どうかな・・という感じはしてます。



不思議なことに何故かこの精神科医も理解してないようですけど・・・、経験的にいっても、うつ病になったから学校にいけなくなるんじゃなくて、登校を拒否した子どもたちへの対応を間違えて、逆にドンドン無理なことを子どもたちに強いて追い詰めるから、まるで「うつ状態」のような反応を子どもとることで自己防衛をせざるをえない、となったケースが結構あるんじゃないかとぼくは思うわけです。



つまり、「うつ病」が原因で「不登校」という結果を生むんじゃなくて、子どもが学校に行かないという選択をしたことを周りが受け止めそこなって、こじらせちゃった場合に、その結果として、精神医療で言う「うつ病」に似た現象がおきるケースがあると考えたほうがいいんじゃないかと思いますね。



ところが、この番組では、この基本的なところで取り違えしてて、原因と結果を逆さまにとらえているようで、この番組を見た人たちに誤った情報が流され偏見をもたらす・・・そんな危ない内容になっていたようで心配になりました。



 
九州・沖縄リポート“どうする子どものうつ病”という番組が先日放送され、再放送にもなりました。不登校や引きこもりの要因にうつ病がある、子どもに病気があるから不登校や引きこもりになるんだという番組でした。同じNHKでも私達の考え方と正反対の内容でした。



 私達は、子ども達は不登校による自己否定の苦しさをいろんな形で表していると理解しています。不登校や引きこもりをおかしいことだとは思っていません。
むしろ子ども達の積極的な生き方だと思っています。



おかしいと思う偏見があるから治療や矯正の対象にしたがるんですね。
是正しなければならないのはむしろこういう偏見です。
こういう不安をあおる番組を見て不登校ですごく悩んでいたり、とにかく学校にどうにか復帰させないといけないと考えている親御さん、当事者が、うちの子は病気なんだ、僕は病気なんだと不安にかられ、医療機関に駆け込んだりするのではないかと心配です。



過食であれ、拒食であれ、家庭内暴力や昼夜逆転であれ、結果として不安をいろんな形で表しているんだと親の会でもたくさんの事例から勉強して来ました。
そのことを理解せず、結果と原因をはき違えると大変な事態に陥っていくと思って、皆さんに紹介しました。



 1月23日(日)には新年会を開きます。
昨年好評だったビンゴゲームも予定していますので、皆さんのお宅に景品になりそうなものがありましたら当日でもお持ちいただければと思います。
今日もたくさんの品物をお持ちいただきました。是非新年会を楽しくやりたいと思います。




自分をごまかしていた高校時代、今すっごく幸せ maiちゃん


―――maiちゃんにお話してもらいましょう。
maiちゃんは16歳です。
お母さんと一緒に初めて親の会にいらした時は高校に行っていたんですね。
(はい)
 
初めて親の会に来てお話してくださった時のことを教えてください。



maiさん:そのときはまだ自分が何で高校に行きたくないのかということが整理できていませんでした。
心の底には行きたくないという思いがあったんだけど、でも友達はいい人とか、ドッチボールは楽しいからドッチボールだけしたいとかいろいろ理由をつけて、自分でわかってるけど区切りがつけられないというかぐちゃぐちゃしていました。
 


―――でも親の会でお話できたんでしょう。(はい)
 
それで気持ちが楽になったのね。(はい)
 


 私もつい最近、お母さんに捨てられるような感覚に陥って(笑い)、別居しているお父さんのところに行っても気が休まらないし、家にいてもお母さんは優しいんだけど、居ていいのかすごく不安になってしまいました。



私が高校を辞める前に思っていたことと同じことで、すごくよくわかります。
逃げ出したり出来たことがすごいなと思います。
私は逃げ出せずに、ずるずると高校は楽しいんだと思い込んでいたから。



―――でもほんとはそれは無理していたことなんだとわかって。
でも、それをお母さんに言うのは辛かったのね。
(はい) 
お母さんを悲しませるんじゃないかと思って。(はい) 
親孝行だね。
子どもは皆そうやって親を気遣うんですね。今高校を辞めてどお?




 すっごく楽しくて、こんなに幸せでいいんだろうかと思うくらいで、いつかこの幸せがなくなるんじゃないかと思うくらい、すごく嬉しい毎日を送っています。



―――お母さんがそれでいいよと受け入れてくれたのね。
 


 うん(笑い)。お母さんが切れて洗い桶が壊れても、ああよかったなと思う。(笑い)
 この間はお祖母ちゃんがお祖母ちゃんの妹にゆっくり休むことが大事なんだよと言っていたからびっくりしてしまいました。(笑い)



私が安心すると、お祖母ちゃんも安心していくんですね Jさん


―――Jさんもご自分のお母さんと一緒に暮らしていますね。
maiちゃんが高校を辞めて、19歳の息子さんも大学を辞めたわけなんですけれど。



Jさん(母):私も気を遣って疲れていたんですけれど、内沢さんからアドバイスをもらいました。
母は娘が夜遅いと心配して娘に対する不満を私に言っていたので、私が娘にお祖母ちゃんがこう言っていたよと中に入って言ってしまうというのがありました。
それはよくないと分かってからは私もほおっておいて、お祖母ちゃんから直接言ってもらうようにしています



―――お祖母ちゃんはmaiちゃんが高校を辞めたことやお兄ちゃんが大学を辞めたことも受け入れてくださったんですね。(はい)
 
でも遊んで夜遅いことは受け入れてくださらなくて。(はい)
 
今度はおばあちゃんに母子3人で出て行けと言われたこともあったのね。(笑い)



 私もすごく疲れていて娘に出て行けばと言ったら、娘もカチンと来て泣きながら「お父さんのところに行く」と出て行き、別居している父親のところに2晩泊まりにいきました。
 でも父親と息子と3人で外食した時に父親から、「何もしていないのはおかしい」と言われ、maiはそんなことないと言って口論になったらしいです。
そして父親が「出て行け」と言ったと。もう出てきているのにね(笑い)と私に話してくれました。



そして私に「捨てないで」と言うんです。
私もすごくかわいそうになって。私の中ではすごく疲れて面倒くさくなって、父親がやさしく娘を受け入れて、1週間、できれば1ヶ月くらい夫の所に行ってくれれば私はホッとするのになあと思っていたんです(笑い)。
でもそういうことはなかったみたいですごいかわいそうになって、二人で和解して仲良くなりました。(笑い)



―――よかったですね。
それにmaiちゃんはちゃんと見ていますね。
お母さんがすごく強くなっておばあちゃんにも「そんなことをいちいち言わないで、ちゃんとやっているんだから」と言えるようになったと言っていましたよ。




 そうですね。
私も「親の会で勉強しているんだから、全然心配していないんだから」と言えるようになりました。私が自信を持って言えば母もだんだん聞いてくれるようになって、毎日そういう話をしているので、さっきの娘の話でも人にゆっくり休ませないといけないんだよと母が言っていたのでびっくりしたんです。
自分が自信を持てば周りも変っていくのかなと思います。
私はやけくそで言ったんですけどね。(笑い)




私も辛かったのに、親を気遣ってしまうんだよね。 山口愛美さん


 山口愛美さん:私もとっても不安で、もちろん最初は学校に行かないことも不安なんだけど、親の会に来て学校に行かないことはなんでもないことなんだとわかっても、何も出来ない自分は価値がないと思えてすごく不安になった。



 ここにいていいんだろうかとか、何かしなさいと言われたら絶対しないといけないんだと思って、いいんだよと言われても多分自分自身がこれでいいんだと思っていなかったから、すごく不安になって突然泣き出してしまったり、家しかいるところがないとわかっているからそこを追い出されたらどうしようと考えてしまうんです。



―――自分がとっても不安なんだけれどお父さんのことも気遣うんでしょう?



 不安だから気遣うんだと思う。
これ以上見放されたくないと、親の顔色を伺ってしまう。見捨てられたくないからとか。



 この親の会に来る前は周りに不登校や過食・拒食をしている子がいなかったし、いても分からなかったし、私はお父さんに対して言えるけど、お父さんは誰にも言えなくて、お祖母ちゃんとやりあったりするのを見ているとこっちも辛くなってしまいました。



 ある日お父さんが風呂場で叫んだことがあって、学校に行ってないことや拒食や何もしていないということで、私がお父さんを追い詰めているんだなと思ったら、なんかもうお父さんに言っていることで自分の気持ちを保もてていたのが、はけ口がなくなってどうしていいかわからなくなったときに初めて内沢さんに電話したの。




人生ってたくさんの生き方があるんだな! 内沢玲子


内沢玲子さん:私はひたすら自分に言い聞かせて高校3年間を無理して行っていました。
親がいくら辞めろと言ってくれても、自分の中にものすごく世間体を気にする部分があり、私自身が自分を許すことが出来なくて、辞めたら友達にどう思われるかとそればっかりでした。



 高校を卒業してからも自分の好きなことをしているんだけれど、高校3年間で溜まった心の疲れとか、すごく自分が傷ついたこととかが取れませんでした。



 そのときは自分の親がやっている親の会だけれど、自分は違う、私はそういう人たちとは違う、休みたい人は休んでもかまわない、でも自分はそういうタイプじゃないと思って参加していませんでした。



 でもそれからきちんと引きこもって全てのことを一切辞めて休まないとその疲れは取れないんだとわかって休みはじめ、親の会にも参加するようになりました。
休んでみて初めてどんなに自分を受け入れていなかったか、自分を否定し責め続けて疲れきっていたのが分かりました。



 休み始めて2年半毎回この会に通って、こんなに親の会って奥深かったんだなあ、自分自身を大切にすることが自分の人生においてどれほど重要なことかということを思い知らされました。



 私が一切合切のことをやめたときはこれからどうなるんだろうと不安の塊だったけれど、きちんとゆっくりしっかり休んだら必ずパワーが溜まるし、パワーが溜まる中で自分のことも認めていけるんだ思いました。



 パワーが溜まったら自分の好きなことでも何でもできるし、今皆と遊んだりもできるんだなあと思います。
高校を辞めたら人生終わりだと思っていたけど、全然そんなことはないんだ、人生ってたくさんの生き方があるんだと思いました。




我が子からひどい言葉を言われた という話をうけて・・・ 内沢達


―――(内沢達):我々親が子どもから「親らしいことを、感謝されるようなことをしたか?」と言われるとやっぱり「ムッ」ときますよね。
 言葉自体は親を否定していますから。
でも、そういうふうに言われたら、じつは「かなりした」「している」と思っていいんです。



ひどい言葉使いをそのまま受けとってはいけません。
ひどい言葉を使ったからといって、親を否定しているわけではありません。



 親は「自分の息子、娘はなんてひどい子なんだ!」と思いがちですが、どこの家の子どもさんもそう変わりません。
親を否定する言葉を使っていても、じつは否定していないんです。
こうして例会にみんなが集まるのは、「どこの家もほとんど違わない」「だから法則的に考えることが出来る」ということを確認しあうためでもあります。



 娘さんは親に感謝らしい言葉は1回も言わないとのことですが、うちの娘だって同じです。
お嬢さんよりはるか年上の25歳ですけど、この25年間、1回も感謝の言葉なんてありません(大笑い)。



 娘は、この15周年記念誌のなかで、「両親に感謝する」と書いています。
感激的ですね。文章なんです。
もちろん、それは有難いことです。でも、言葉ではまだありません。(笑い)



 僕はいま57歳ですけど、娘は小1の時、30代後半の僕をなんと「クソジジイ」と呼んだんですよ。(笑い)
 小6の時は「このデブ、死ね」ですよ。(笑い) 
ずっと長いこと生きてきて、ささやかなことですけど、娘から「お父さん、ありがとう」と言ってほしいのです。(笑い)



 娘は文章で「両親に感謝する」と書いてくれた。だからひどい言葉使いをしたからといって、その子がひどい、親もダメなんだということになりません。



 ひどいことを言うというのは、親を認めているということです。もう、どうしようもない親だったら、何も言いません。言う気さえおこりません。



 ひどいことを言われたら、自分はダメと思わず、「ああ、自分はかなりいい線いっている」と思ってください。
 ひどいことを言う娘、息子もたいしたものだと思ってくださいよ。
普通は他人には何も言いません。
家族だから、信頼しているから、受け止めてほしいから、言ってしまうのです。



われわれ一人一人は違う、大なり小なり違いはあるんだけど、親への反抗という点では、みんな同じです。「自分もそういう時があった」ということを忘れてしまっているだけです。



「うちのお父さん、お母さんは立派です。常日頃から感謝しています」なんて言う息子、娘がいたら、そっちの方がよっぽど心配です。(笑い)
そういうふうに言う子どもさんは、ほとんどいない。大抵は、「ひどい親父だ、おふくろだ」と言うんですよ。(笑い)



 ごくたまに、無理をして「お父さん、お母さん、ありがとうございます」と言う子どもがいますけど(笑い)、そういうふうなのがいいですか? 一瞬はそう願うかもしれませんけど、違うでしょう。
反対に「お前は、それでも親かよ」と言われるのは、その時は嫌だけれど、よくよく考えてみるとそれは相当にいい親子関係なんです。



Hさんは、もう何回も数え切れないくらい言われました。
Nさんはまだお母さんにそうは言えないでしょう。
(はい)
 だから、Nさんはすごく大変なんですよ。



そういうわけで、娘さんが言ってくれるのは、決して悪い関係ではないですよ。
(そうですか?)
 
中3くらいですと「いい子」の方が心配ですよ。あぶないです。
中2から高校生くらいは、メチャクチャ親にあたるのが普通なんです。
だから、私たち親も「うちの娘、息子はたいしたものだし、我々親もなかなかのものだ」と思えばいいのです。




 
娘のおかげで家族が幸せに。 夫婦の時間を大切にしています Gさん


 
Gさん(母):今高2の娘が休学中です。
宮崎に住んでいましたが、夫が川内に単身赴任になり、川内の学校だったら行けるのではないかと学校を変ったのですが、2日しか行けませんでした。



 保健室登校や図書室登校の手立てもしましたが行けませんでした。
私たちは退学してもいいと思っていましたが、本人は休学を希望し10月から休んでいます。
今は家でのんびり過ごしていて、週刊の漫画を買いに行くときに出かけるだけです。



 先日たまたまお友達に誘われ1泊してきました。
「どうしよう」と言ったんですが、「あなたが行きたければ行けばいいし、行きたくなかったらやめたらいいよ」と言ったら、結局楽しかったと帰ってきたんですが、「泊めてくれたところには私が学校に行ってないということは言わないで」と言ったんです。
ですから私も行ってないのになと思いながら、そこのうちに楽しく行ってますと言ったんです。(笑い)



 今日はNHKのTVカメラが入ると聞いて、娘は「映るのだったらたくさん映るようにしたら」と言ったんです(笑い)。
でも、私たちが映るとローカルですから、泊めてくださったところにも行ってないことが分かってしまうのになあ、いいのかあと思って、たぶん、娘もそろそろもう学校は辞めようと思っているんだなあと思うんです。



―――娘さんは自己否定をして苦しんで、お母さんもとても不安な日々を過ごしてこられたわけですね。
 お父さんはもう娘より妻が大変だと、妻がどうかなるのではないかと心配されたんですね。

 


 夫が単身赴任のときは毎日のように電話して、携帯電話の通話料がすごかったです。
一緒に住んでからも不安で、娘が学校を変えたときは行くのではないかと思ってすごく嬉しかったんですが、ずっと不安が続き夏休み前になったらしょうがないかなとも思ったんです。



 その間、不安を押さえるお薬をずっと飲んでいました。
更年期だと思って婦人科に行ったら、「親の育て方が悪い、あなたの性格が悪いから娘さんもそうなった」と言われ(笑い)、すごく腹が立ったんです。
 「登校拒否は病気じゃない」という本に出会って、内沢さんに電話して「病気じゃない」と言われて、それから落ち着いてきました。



―――今はご家族幸せに3人で暮らしておられて。(はい)



Gさん(父):そのとおりです。
今はもう嫁が落ち着いたということがなによりです。
先ほどから聞いていたら、娘は何か安心するような言葉を言ってくれているなあと思っています。安心する言葉、ひどい言葉をです(大笑い)。



―――身体的なこととか)(笑い)
 例えば、休むときに私が「○○ちゃん、おやすみ、いい夢みなさいね」と言うと、娘は「おお、お前は悪い夢見ろよ」と言うんです(大笑い)。



冗談ではなく、毎日のようにこんなに言っているんですよ。
こんなことを言われてうちの娘は信頼関係が?と思わないでもなかったんですが、先ほどの話で逆にうれしかったりしたんです。



―――不登校の状態ですごく大変なときは?



 いやあ、もうはっきり言いまして、顔が引きつっていましたね。
妻もでしたけど、私も。私が会社に行くときにまだ娘が家にいるということが1ヶ月くらい不安でした。
いっときは仕事で忘れて、また仕事帰りに高校生と出会うと娘は何をしてるんだろうかという不安でいっぱいでした。
先日娘が泊りがけで家にいなかった時は寂しかったですね。そう思い始めています。



―――ご夫婦で泊りがけで山登りやいろいろ行かれて。



 山登りも、映画ももうすごいです(笑い)。
妻が連れて行ってくれるんです。
今、山は「冠岳」に凝っています。この頃ひとりでも妻は映画に行ってます。



―――ほんと何よりですね。だからAさん、親は不安になって当たり前です。
だけど不安に支配されたらいけません。
支配されないで見方を変えれば、幸せになれますよ。



学校にこだわっているうちは幸せにはなれませんね。
そのことを大事にして、子どものさんの生き方を否定しないということが大事ですよね。




このページの一番上に戻る→


体験談(親の会ニュース)目次へ←


←2005年2月発行ニュースはこちら /TOPページへ/  →2004年12月発行ニュースはこちら



Last updated: 2005.1.18
Copyright (C) 2002-2003 登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島)