TOPページ→ 体験談目次 → 体験談 2010年6月発行ニュースより
私の「わくわく」は? 2010年5月例会報告(抄) 「毎日わくわくしてますか?」「私のわくわくは?」 例会で出しあってみました。 しずりんさんは、ご夫婦で種から育てる野菜、花作りに夢中。ご近所のかたにも評判です。永田さんは星の観察です。例会の日は金星と月が大接近、さっそく夜、美しい天体ショーを私(内沢朋子)も堪能しました。 HGさんは自然とふれあうこと。夫の単身赴任先の屋久島で連休を楽しみました。TKさんはアイドルグループの「嵐」に夢中。「ファンクラブにも入って・・・」に大笑い。 Sさんは土日は夫とふたりで楽しんでいます。大阪から参加の直美さん、泰史さんは夫婦で旅行を楽しむようになりました。良治さんはそらさんが自宅に来てくれること、一緒にいられることがわくわくです。 みどりさんもご夫婦仲良く旅行したり、おしゃれも楽しんでいます。みきこさんは例会の前日が誕生日。夫や子どもたちからプレゼントをもらってとても嬉しそう。厚子さんは私の「山のおっしょさん」。毎年アルプスへ行くのが楽しみ。山に行くときは家族もちゃんと「自分のことは自分で」しています。 転勤の重則さんと淳子さんは、夫婦ふたりの暮らしをエンジョイしています。普通だと単身なのに「一緒にいてくれることが嬉しい」と重則さん。百合子さんは自分の仕事や正志さんが家事を手伝ってくれること。正志さんは口蹄疫で大変ですが、手伝って百合子さんから「ありがとう」と言われ「よっしゃ!」と(笑)。 なぎささんは苦手なPCが娘さんに優しく教えてもらってできるようになりました。じぇりさんのところの家訓は「したくないことはせず・させず」。家族みんなが楽しくやっています。 「“わくわく”の毎日を送られるなんて、以前だと考えられなかった」「親の会と出会い、例会に続けて参加するようになって変わってきた」。みなさんの共通する実感です。 わが子を「心配しないで信頼する」、そして「自分を一番大切にして、今を生きる」、するとちゃんと自分のすてきな「わくわく」が目の前や足元にある! と気がつくんですね。 目次 1 友だちの娘さんが元気になり感謝される しずりんさん 2 いつもマリアさまみたいな顔できないもんね 永田さん 3 今は子どものことは全然気にならないです! Sさん 4 家族に愛されて・・・ みきこさん 5 「したくないことはせず・させず」 じぇりさん ―――私は今山登りに夢中です。昨日は厚子さんとたっちゃんと3人で磯間嶽に行って岩登りをしてきました。前回登れなかったところを登ることができて、最高に嬉しかったんです。今度はどこの山に登ろうかとわくわくしています。 みなさんにはどんなわくわくがありますか? お話してもらいましょうね。 友だちの娘さんが元気になり感謝される しずりんさん 私は去年の夏、花の世話をしていた時にハチに刺されたことがあったんです。もうジンジンきて大変で、息子にインターネットで調べてもらって、すぐ病院に行きました。そんなこともあって、私は虫が嫌いだし山には行けません(笑)。 ―――息子さんが家にいてくれてよかったですね。 そうですね。私はもう死ぬかと思って慌てて夫にも電話したのに、「ハチなんかほっとけばすぐ治る」と言ったんですよ(笑)。我が家は子どもが小さい頃から家の近くに畑を借りて、そこで野菜を作っています。5月の連休は夫とふたりで草取りをして畑を耕しました。夫が力仕事をしてくれるので、私は熊手で草を取って。菖蒲学園で買ったにがうりときゅうりを植えました。今年はお風呂場に西日が当たるのでグリーンシャワーにしようと思って、にがうりを植えて常に私が監視しています(笑)。今日もここにくる前に畑の方も見てきました。 種から植えているのは、ミディアトマトと、去年はナスが成功したのでビニールポットに24個育てています。全部育つか分からないし、余ったら近所の人におすそ分けします。近所の人も楽しみにしていて、よろしくお願いします、と言われているんです(笑)。だから今はそれに夢中です。またビールもおいしい時期になったので、落下生も種から植えました。去年は2回分くらいできて、東京の姉に送ったら、珍しいとすごく喜んでくれました。 ―――それなら息子さんに興味関心が向きませんね。 そうですね。あっ、上にいるんだったんだ、っていう感じですね。息子も20歳になって、やっぱり昼夜逆転が多くてゲームをやっていますが、そういうのももう全然気にならなくなりました。 ―――この間は同級生で不登校の子が開陽高校に行って卒業した話を聞いて落ち込んだと言われましたが、その時は畑をしていなかったものね。 その時は寒かったし足が向きませんでした。草もボーボーで、ひとりではしたくないし(笑)。今は早く大きくならないかなとわくわくしています。 ―――息子さんが不登校になったときは畑は? もう何もしたくなくて。花もしたくない、そういう気持ちにならなかったです。もともと花が好きで、いつも植え替えをして楽しんでいたんですけど。 ―――あなたの家はあの辺では有名な観光スポットなのね。(笑) そんなふうに言われたら恥ずかしいんですけど、犬の散歩で通る人から「ここを通るのが楽しみ、癒しだよね、ありがとうございます」と言われました。でも、そのときは何もやる気になれなくて、私が元気がないから花も元気がありませんでした。花なんかしてる場合かよ、という感じでした(笑)。みんな学校に行っているのにうちの息子は行ってない、どうなるんだろうと思って。 息子は「明日は行く」と言うので、私は自分の友達に毎日電話をして、「明日は何があるの?」と聞いて、息子は時間割を準備するんですけど、行く時になるとパッと起きないし、お腹が痛いと言って。私は学校に行かせたかったから、その繰り返しでした。私は友達に「今日も行かなかったのよ」と言って、30日休むと不登校になると友達に言われて、それを考えるとすごく怖くて、「もう言わないで、怖い」と言って。 ―――そのお友達はそれ以上は余計なこと言わなかったの? 言わなかったです。実はその友達に私は感謝されたんです。娘さんが去年保健師の学校を卒業して、大きな病院に就職したんですが、普通の病院では扱えない患者さんがどんどん運ばれてくるすごいハードな職場だったそうです。 Gパンが落ちるくらい痩せて、ものすごく疲れ切って、でも頑張って頑張って、でももう続かないと2月に辞めました。そのときにその友達にここでいつも話している「子どもを信頼する」という考えを話したら、「いつもは心配するけど、それを聞いて今回は心配しなかった。ありがとう」と言って感謝されたんです。 その子はゆっくり休んで、それから新しい病院に就職し、肌もきれいになって今はルンルンで行っているそうです。私も「よかったねー」って言って。この会の考えで元気になってくれて、私も感謝されてうれしかったです。 ―――それはとてもよかったですね。うれしいですね。 いつもマリアさまみたいな顔できないもんね 永田さん 私のわくわくは、パソコンで親の会のHPの写真掲示板を見ることです。みなさんが行った山が紹介されるのを見て、私も次はここに行けたらいいなあとわくわくしたり、星のHPも見ています。それこそ今晩は三日月と金星がランデブーするんです。西の空を見上げたら肉眼でもきれいに見えるそうです。 ―――いつもおふたりで見ているの? そうですね。でも夫が勤務でいない時は息子にほらほらと勧めたりもするんですけど、「おれは星に興味はない」って(笑)、だけど「夕焼けは好きだ」とか言って。 そんなうれしい日もあって、もう大丈夫、不安はないと思ったりもするんですけど、やっぱりいろいろあって、何カ月かに一度それもついこの間、息子がずっとのびやかにゲームをしているもんですから、「もうあんたもいい加減に動きなさいよ」とつい怒鳴ってしまったんです(笑)。 そしたら息子は険しい顔になって、2階に上がって行き布団をかぶって寝てしまいました。しまったと思っていたら、3時間くらいして起きてきて「風呂に入る」と言うから、私はいそいそと「はい、はい」と言って、その間にりんごが好きなのでむいておいてあげました(大笑)。 次の日私から「昨日はごめん」と言いました。息子は「おお」と言ってそれだけでした(笑)。 木藤さんにその話をしたら、「ずっとマリア様みたいな顔はできないもんね」と言われてほっとしたんです。でも進歩がないっていうか、その繰り返しだったりもします。 ―――そういうことがあったっていいんです。自分を責めて落ち込まないようにね。でも「ごめんね」と言える間柄ですごいじゃないですか。そう言ってしまった時は、あなたの機嫌が悪かったり、忙しかったりしたんじゃないですか? 息子さんは楽しい毎日を過ごしてるんでしょう? そうですね。今娘が就活で帰ってきていて手がかかるもんですから、後から思えばそんなことだったのかもしれません。息子は楽しそうに見えるんですけど、でも一方で私はずっと家にいて何が楽しんだろうと思うんですよ。外に出れば刺激的だし、おいしい物もあるのにという思いもあります(笑)。でも手料理がきっとおいしいのかもしれませんね(笑)。 ―――息子さんは今いくつですか。(今19歳です。9月には20歳になります) だからと言って息子さんは動く気配があるんですか。 何もないです。何も言ってこないから私も言いたいけど何も言わないんです。 ここで玲子さんも3年半で動きだして、いけさんのところもちょうど去年の今頃だったから3年半だったと思って、うちの子も3年半は、と思って(笑)。不登校を半年、家に3年で、3年半だなと(大笑)。 ―――しずりんさんの息子さんは13歳から不登校でしたよね。森田さんのところは中1のときから24歳まで、木藤さんのところは中2から10年間家にいて今働いています。あなたのところはまだ3年半でしょ。まだまだじゃない(じゃあ、まだいいですね)(笑)。 でも、金星を見たり、自分がわくわくしたりすることがあったら、息子さんのこと忘れるでしょう。 そうですね、確かに。別にいいじゃないかっていう気もしてきますよね。娘も今4年生になったばかりで、鹿児島と福岡で就活をしているんです。それが難しくて、どこも決まらないんです。もう30,40社ってテレビで聞いてましたけど、ほんとそんなかんじで。もう落ち込む暇もないほど、次から次へ行かないといけない感じですね。 だけどそっちでは私もぜんぜんあせってなくて、どこかあなたにあったところがあるのよ、あなたにおいでって言ったところが入るところよと言っています。 ―――なかったら何て言うの? なかったら今年は縁がなかったのよと(笑)。どうしましょう(笑)。 ―――「あるわよ」と、なぐさめることはやっぱり就職しなきゃと思っちゃうのよね。「なくてもいいのよ。なかったら親子4人で仲良く暮らそう」と言えるといいですね。 しずりんさんの保健師さんのお話よかったですね。人の話は我が話ですね。就職しなくちゃいけない、就職しないと生きていけないと思うと大変よね。私も若いころ就職先がなくて本当に絶望的になったことがあったのね。卒業したときに何にもないんだもの。何にもすることがなくて本ばっかり読んでいましたが、気持ちはとても辛かったです。 私の母は何にも言わなかったです。でもやっぱり就職できないと人間じゃないみたいな気になってくるのね。30社も40社も受けて、すごく辛いと思う。 ―――弟さんのことがうらやましいなっていうようなことは言わないの? そうですね。この間帰ってきた時に、息子が10時くらいに起きてくると、「今日は早い出社だねー」「そんなに毎日毎日ゲームのところに行かないで、たまには休めば」とか言います(笑)。帰ってきて弟をおちょくるのも楽しみのひとつですね。 ―――あなたの夫はシステムエンジニアを辞められたんでしょう。 システムエンジニアだったんですけど、平成13年に会社でいろいろあって、今はタクシードライバーをしています。夫が会社を辞めるときはすごくショックで、もうちょっとがんばってよというかんじでしたが、もう夫も限界でした。 でも「おじさんしかできない仕事もあるんだ」と言って、タクシードライバーという仕事を選んだんですけど、だけどもうほんとに給料は半分というかんじで、どうなることかと思いました。最初の頃は「なんかこれ長良川の鵜飼いみたいだよね」って言っていたんです(笑)。 だけど今は、「あなた給料の半分を会社にあげてるんだから、あなたはすごいねー」「一円の位まであなたが稼いだお金だよね」って、ここで学んで言えるようになりました。不景気ですけど、でもなんとかなるわという感じで、そのへんはふたりとも楽天的だったりします。 ―――本当に幸せは自分の気持ちしだいだということですね。あなたも働いているのね はい、パートで働いています。息子が不登校の時は半年間休んで、息子が学校に行くと言った時にはすぐに行けるように体制を整えていました(笑)。 ―――その時に比べたらあなたのお気持ちは雲泥の差で楽になっているでしょう。(そうですね) あなたもニコニコしておられるし。本当に人生って先はわからないですね。 わかりませんね。変わってないといえば変わってないけど、変わったといえば私の気持ちが大きく変わって。そしたらすごく楽になるんですね。親の会との出会いがあったからこそなんですけれど。息子もにこにこしていますね。 あの時はこの子はこのまま死んでしまうんだろうって思っていましたから。今はノー天気に、もうちょっとはものを考えたらいいのにと思いますけど(大笑)。 ―――あなたがほんとに今の幸せを大事にしていけば、息子さんもちゃんと自分の人生を歩いていくんですね。 今は子どものことは全然気にならないです! Sさん 私たちのわくわくは、土、日が来るたびに夫婦で食べに行ったり、旅行に行ったり、ヨットも楽しんでいます。 親の会で永田さんのお話を聞くのもわくわくです。4月例会で、内沢さんの質問「息子さんが家でダラーとしてても何も思わなくなりました?」に、永田さんの「思わなくなりました。それ以上に私がダラーとすればいいんだということをここで教わって」(大笑)・・・を読んで、「息子以上に自分がダラ〜としています」というのがおかしくて(笑)。表現力があって素直でとても可愛い女性だなと思っています。 ―――以前は土、日にご夫婦で遊びに行くなんてとても考えられなかったですか。 そうですね。子どものことばっかり考えていましたから。 むしろ土、日がなくて仕事に行っているほうが楽でした。休みに子どもと一緒に家にいて何を言われるかとびくびくしている時期があって辛くて、家に入る扉が怖かったですから、自分たちのことは全然考えられなかったですね。 夫の母が亡くなって、その土地を譲り受けて野菜を植えたりして、今はちょっとした楽しみもあります。朝早く行って気持ちのいい朝を迎えるとか、夕日が沈んでいく姿を見られたりして「幸せだな」と思います。 子どものことは考えなくなってきています。何か言ってきても「あなたの人生だから好きなようにしていいよ」と言えるようになりました。 いろんなことをこの会で学んでいるので安心しているんですけど、でも「仕事を辞めようかな」と言ってきたら、動揺しないかと会報を見たり、昔のことを考えて再確認しています。 息子は今30歳で、仕事を始めて3年半になるので26歳ぐらいから動き出しました。息子も「きついから辞めようかな」と時々口にすることがあるんです。そのとき「辞めてもいいんじゃないの」とは言えるんですけど、辞めて仕事を探すときに「また、どこかいい所があるんじゃないの」と言いそうな気がするんですね(笑)。 永田さんの娘さんのお話を聞いて「なくてもいいのよ」と、そういう言い方があるなと思って、またまたここで再発見することが出来ました。まだまだ未熟ですね。 みなさんは早く解決されるけれども、私は長い期間来ていていろんな話が全部当てはまることばっかりで、息子が学校を辞めた頃に友達に見栄を張ってインターネットでいろんな商品を取り寄せて金持ちになるんだといった時期もありました。それを友達に見せて「俺はこれでやっていくんだ」と無理を言ってお金も相当使いました。それを親も手伝っていましたから。今考えれば、友達に対する見栄で無理していたんだなというのが分りますね。 ―――親が何もしないことが大事だというのは、つくづく感じるでしょう。 そうですね。その頃息子が取り寄せた物がどれぐらい価値があるか分からないですけど、母の実家にそのまま残っています。今見ると「無理していたんだ」と分かりますねえ。その頃私は、息子はインターネットもできてオークションで海外と取引している、「うちの息子はすごいんだよ」と自慢げに言っていた時期がありました(大笑)。やっぱりちょっと考え違いをしていました。 ―――だから「親は何もしないということが大事」ということですね。いっぱいやってきましたものね。 ほとんど当てはまることばかりですね。(笑) ―――でも親御さんが開き直って「おまえの言いなりにはならない」と言ったときに、息子さんは変わっていったんですね。 自分の力で職を探して勤めています。不規則な職場だから大変だなと思ったのですが、きちんと起きてくるので「あまり無理しなくていいんだよ」と言っていますが、どうなるか分りません。(笑) ―――息子さんのことを気にならなくなったのね。 全然気にならないです。 ―――あんなに四六時中不安いっぱいだったのにねぇ。 「人と付き合うのが苦手だ、人間不信だ」と言っていたのに、接客業をしているんですものねえ(大笑)。今も息子は「こういうときは、お客さんとこんな会話をして、こういうやり取りをして」と彼なりに勉強しているので、やればできるんだと思っています(笑)。 家族に愛されて・・・ みきこさん 昨日は私の49回目の誕生日でした。(拍手・おめでとうございます) 今日は親の会へ来る前にいきつけの化粧品店で無料の美顔マッサージをしてもらいました。だから今日の私はいつもよりきれいと思います(笑)。 昨夜は娘がバイト先の和食のお店からお重箱に詰めた巻きずしやレタス巻きを自転車で持ってきて、「お母さん、おめでとう」と言ってくれてとっても嬉しかったです。 夫は私の誕生日を忘れているだろうと思っていましたが、帰宅したあとまた出かけてケーキを買って来てくれました。それに夫と娘がブランドのコーチの財布もプレゼントしてくれました。夫はいつもお金がないと言っているのでびっくりしました。娘が「ほら、お父さんはお母さんのことをちゃんと考えているよ」と言ってくれて、娘に諭されました(笑)。 ―――あなた、お幸せね。息子さんが不登校になった時は、どうだったんですか? 中学校に入って間もなく担任から私の携帯に、息子がテストを受けずに黙って帰ってしまった、という連絡が入りました。息子は学校帰りに友人の家へ遊びに行っていて、私が到着する前にそこに担任と生活指導の先生が来ていました。 息子は2階にいて目にいっぱい涙を浮かべて、私が「大丈夫だから安心して降りておいで」と言うのですが、「どうしよう、どうしよう」という感じでした。別に悪いことをした訳ではなく、再テストを受けずに先生に黙って帰ってきただけでした。 私は別にたいしたこととは思いませんでしたが、先生達が「黙って帰った」と血相を変えていました。そこは母子家庭でお母さんが留守でした。「○○君、上がるぞ」と言って、先生がバアーと上がっていきました。息子に何を言ったかわかりませんが、下におりてきた息子は先生をにらみつけ、私達にも見せたことのない顔をしていました。先生が「こんな子はみたことがありません」と言いました。息子の形相がすごくて、今でも忘れられません。 その夜、息子は家出しました。「お母さん、ちょっと出て来るね」と言って。 すぐ後を追ったのですが見つかりませんでした。4月のすごく寒い日で、夫も血相をかえて捜し、近所のお友達のお母さんも捜してくれました。息子は11時頃「ただいま」と普段と変わらぬ顔で帰ってきました。自宅から車で20分くらいかかる国分のサティの先まで行っていたようです。その後5月の連休あけから学校に行かなくなりました。今思い返すと、「ああ、あんなこともあったなあ」ですね。夫との関係はまだまだですけどね。 ―――何がまだまだなの? プレゼントをもらうのは嬉しいんですけど(笑)、夫は小言が多いんです。家をオール電化にしたんですが、夜10時から朝までの料金が安いんです。夫は「洗濯も携帯の充電も10時から」と細かく言うんです(大笑)。 子どもたちにもパソコンは10時からにしろとか言って、でも夫は10時前から使っていて(大笑)腹が立って。それに対して文句を言うと夫は怒るんです。息子だけは好きな時に使ってますけどね。 ―――(内沢達):先月の会報にも書きましたが、夫に変わってもらいたいという期待が全くない訳ではないけど、変わってもらえなくてもダメではないですよ。相手に変わってほしいとは思わず、自分の気持ちはきちんと伝えることです。相手が変わってくれないからといってイライラすることはないんです。 自分の気持ちを夫に言えばいいんです。「お父さんは、お金が主人公だねえ。(笑)私は、私が主人公だから、お金は私のために使うわ」と、どんどん自分の考えを遠慮せず夫に言ったらいいんですよ。「私は、そういうのは嫌よ」と。 私も会報を読んで、夫へ変わってというのは無理だから、自分が好きなことをしよう、と思って(笑)。 ―――みきこさん、それぐらいのことで夫婦のことに問題ありというのは違いますね。あなたの夫は、今年のお正月鳥取まで同窓会に行ったあなたを博多まで迎えに来てくれたりして、とってもあなたのことを愛していると思いますよ。 はい、夫はいい人なんですけど(笑)、いい人となにかこうちょっと違うんです(笑)。 ―――もっとあなたの夫を信頼するといいですね(笑)。そういうことはどこでもありですよ。コーチの財布をプレゼントしてもらうなんてうれしいですね。夫婦の愛情は育てていくものですからね。 担任から「こんな子みたことない」と言われた頃は、あなたはわくわくしなかったでしょう。それが今こんなふうにお誕生日祝いをしてもらって、それがとっても嬉しいと思うようになって、親の会へくる前にエステに行ってね。考えられないでしょう、あの頃とは。 私は親の会に出会わなかったら、こんなに早く元気になってはいなかったと思います。息子も荒れたりはしなかったです。自分を受け入れたのが早かったからでしょうか。学校へ行かない自分を否定することは、あまりなかったようです。 「したくないことはせず・させず」 じぇりさん わが家では、家事当番は何も決めてないです。(「したくないことはしない」ということですね。)私もそう思っているので「あれして、これして」という言葉が家の中で聞かれることはないです。 21歳の長男は家で自炊しています。以前から自分の食事は自分で作っています。他の家族はみんな私が作ったものを食べています。長男はいろんなものをいろんなふうに調理して味わいたいようです。長女と次男はライブやお芝居を見に行ったりして外出しますが、長男は全く外出しなかったのに、今はお金を私からもらって、自転車にのって自分で食材も買いに行きます。 台所も2人で共有して使っています。長男は冷蔵庫の中もきれいにしてくれます。私がまちがって息子の食材を使うと息子から文句を言われるぐらいですね(笑)。 ―――家の中は誰がキレイにするの? キレイじゃないです(笑)。 掃除機は長男と次男がかけます。お風呂もトイレも気がつくと誰かがやっています。洗濯物は天気のよい日に私が干していましたが、ずーっとのんびりしていて、夕方からのプールの仕事間際になってバタバタ動くので、取り込まないで行くんです。娘へ頼むと「自分のペースで干して取り込むので、干さないで」と言われました(笑)。 ―――娘さんが洗濯するの? 洗濯機がしますよね(笑)。夫は一切何もしません。起きたらすぐ会社へ行って、夜中11時、12時に帰宅します。以前は茶碗をたまに洗っていました。私、ためるのが得意ですから(笑)。夫は忙しいだろうなと思うので別に頼みません。私もやりたくなかったら、しなかったらいいわけですから。 ―――茶碗洗いをしたくない時はどうするの? そのままです(笑)。でも使うのがなくなったら、仕方ないので洗って使います(笑)。 子どもも「使うのがなかったので食べないことにした」と言っていました(大笑)。 長男だけは、自分で使って自分で洗っていますので問題ありません。うちの子ども達は食べるのが優先ではないです。「お腹はすくけど食欲はない。それ以上楽しいことがいっぱいあるから」と言っています。したいことがあれば夫に似て食べることは後回しなんですよ。 ―――毎日楽しんでいる様子が伝わってきますね。じぇりさんのわくわくは何ですか。 まず起きたい時に起きます(笑)。 何もしないでボーッとして食べたい時に食べたいものを食べます。次男はまだ寝てるし、長女も寝ていたり起きていたり。自分のことしか考えないです。 それからアルバイトのプールで子ども達と過ごす時です。楽しいです。 仕事は夜10時頃終わるので、それからイオンにいって半額シールの食材を買って作ったり。夫も外食ぎらいだし、私もお惣菜を買うことはせず自分で作ります。夫の帰宅を気にしないで、一応メールで夫に帰ってきたよ、と知らせます。 ―――基本的には何者にも束縛されていないのね。(はい) 夫は昔はお酒を飲んでいたけど、今は飲むと頭が痛くなると言って飲みません。昔の私だったら、夫が飲まなくなったら私も飲まない方がいいかなと思うんですけど(笑)、別に強制された訳ではなかったけど、そんな風に感じさせる無言の圧力が夫にはありました(笑)。 私は、連休に妹のいる奄美に3泊4日で遊びに行きました。家族のみんなを誘ったけど、誰も行く人がいなくて、夫も仕事でしたから。ここに御夫婦で参加されている方々は仲良く楽しんでいますが、私は全くそういう事はありません。夜一緒にご飯を食べるくらいです(笑)。 昔は一緒にいても心がつながってなくて楽しめていませんでした。今は心がつながっていると感じています。 ―――子ども達が不登校する前、あなたの夫は教員をしておられたけど、そのときは「主婦」していたの? はい、一日三食きちんと作っていました。朝食もパンではなくごはんとみそ汁でした。掃除機もそのころは、ちゃんとしていました(笑)。今は、家では掃除しないけど職場では毎日掃除してますよ(笑)。 私の実家では、父が一切家事をせず、座ったまま「?油、パン・・」と言って、今もそうです(笑)。母は、外出していても昼になると帰ってきて食事を作っていました。私は母に「奴隷みたいだね」と言っていました(笑)。 自分の中にもそんな価値観があって、その延長線上に夫との暮らしがありました。夫もその方が楽でしたから。 ―――プールでも子どもとの関係が楽しくて、家へ帰っても家族との関係が楽しくて、毎日楽しいですね。 はい、そうです。だから頭がボケていくようで(笑)ちょっとこわいです。 ―――1999年11月にあった「親の会」10周年記念の会のときに初めて参加されたのね。あなたの夫が喜界島の小学校で標準服の強制に反対する親たちを支援したということで職場でいやがらせにあい、教員を辞めて宮崎県の都城に移住されたんですね。子どもたちの不登校と夫の辞職と、いろんなことを経て、今とても自分を大切に生きているということですね。 |
最終更新: 2010.7.19
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