TOPページ→ 体験談目次 → 体験談 2009年3月発行ニュースより
わが子に「ありがとう」を! 2009年2月例会報告(抄) 私たちの会の考え方は、「3原則」(異常視しない/言いなりにならない/腫れ物扱いしない)が典型的なように〈ないないずくし〉で、子どものことでは親はなにも「しない」ということをとても大事にしています。 「しない」ことがじつは「した」ことになっているんですね。親が「しない」でいられるのは、わが子への何よりの信頼の証明だからです。 子どものことはしませんが、私たち自身のことはいっぱいします。 なかでも自分を大切にすることは一番大事なことだと思います。 私たちはわが子の不登校や引きこもりのおかげでとても大切なことに気づくことができました。 自分の人生の主人公は自分です。世間とか学校とか会社が主人公ではありません。また妻とか嫁とか「主人」とか長男といった立場に縛られていたのでは自分の人生と言えません。私たちは以前と比べてはるかに自分を大切にして自分らしく生きるようになってきました。 2月例会は冒頭、プリント「負けるが勝ち」の読み合わせから始まりました。これは、内沢達が7年前にまとめた「ことわざ・格言と登校拒否、引きこもり」の一節(9項目目)です。 そこに「親は親自身のことに取り組む」「子どもと話す場合でも、子どものことではなく、親自身のことを一人称で語る」「子どもに、“お父さん(お母さん)は変わることができた。ありがとう。君のおかげだ”と感謝の気持ちを必ず伝えてほしい」などとあります。 すでに何人もの方が「ありがとう」とおっしゃっています。まだの方は照れないで何度でも言ってほしいと思います。「まだとても言えそうにない」という方は、もっともっと自分を大切にしましょう。「わがまま」が肝心です。自分のことではいっぱい「わがまま」になりましょう。 子どもから見ると次のような感じです。「親が自分自身を大切にするようになってとても生き生きとしている!」「しかも、そのきっかけが僕(私)の不登校だ、なんて!」 このような私たち大人のありようが子どもたちへの最大の応援ですね。 目次 1 親の会で愛をたくさんもらっています (娘の強迫行動と私 その2) KMさん 2 親は子どものことは何も「しない」、自分のことをいっぱい「する」 内沢 達 3 私、自分のこと大好きです! 真衣さん 親の会で愛をたくさんもらっています KMさん (娘の強迫行動と私 その2) ―――娘さんの強迫行動が非常に激しくて、姉弟げんかになってしまい、弟さんが年末に家を出て近くのおじいちゃん、おばあちゃんの家にいるのね。今は娘さんとお母さんふたりで住んでいます。 先月の例会前に、娘さんは私に「お母さんに、“言いなりになってはいけない”とは言わないでほしい。“言いなりになる”と言って下さい」とメールしてきました。辛くなってくると自分をいっそう否定し、その辛さの原因を周りに求めてしまう。しかし周りのせいにすればするほど、辛さが増していくんですね。 娘さんへの私の返信メールが次です。 辛いときは、引きこもりや、拒食や過食、いろんな形で自分の辛さを表します。 それは自然で、何も問題ありません。 強迫行動もまったく問題ありません。 そのことを否定しないで、おおいにとことんやってかまいません。 しかし、家族であっても他の人に強制することは絶対にいけません。 なぜなら、他の人だけでなく、自分も傷つき、どんどん辛さが増していくからです。 辛さが増すから、いろんな条件をつけていきます。 しかし、その条件をクリアしたかのように見えても、実はもっとすさまじい辛さが待ち構えているんです。 弟がいなくなれば、お母さんが自分の「言いなり」になれば・・・ その「条件」をクリアして、楽になりましたか? 決して楽になりませんね。 むしろ、どんどん辛くなってきますね。 私と初めて会ったときのことを覚えていますか。 「家族が自分を支えてくれた。家族が居るから自分は生きてこられた」と 家族への感謝の言葉をいっぱい述べていましたね。 そのかけがえのない「家族」を切り離して、 自分の「条件」を満たしていくことが、自分が楽になっていく道ですか? 決して楽になっていきません。 反対に「自分を許せない」道にどんどん自分を追い込んでいきますよ。 他の人に強制するのでなければ、自分だけであれば 強迫行動はおおいにしたらいいんです。 会報とHPをいっぱい読んでください。 自分の辛さだけを言い続けているうちは、決して辛さから抜けられません。 賢いあなたならきっとわかってくれる、と確信してメールします。 娘がこのメールを頂いたとき、プリントアウトもできないものですから、自分で書き写して、それを私に見せてくれたんです。 「くやしいけど、すごく朋子さんの言うのがあたっている。確かにそうだ」「朋子さんが真剣に答えてくれた。やっぱりすごい」と、返事をもらってすごくうれしかったようです。 感動していたんですけど、最近はもうちょっとひどくなって、昼も夜もいつでも時間がめちゃくちゃです。弟がいるときは、ここまでは使って、ここからは弟の時間だったのが、今はやたらと自分の時間が多いですね。12時間以上洗面所もお風呂も使って、もう、手はふやけています。私が洗面所に入って行くと埃がたつ、だからそこで顔を洗わないで、お化粧しないで、歯ブラシしないでと言うんです。私は「台所に持っていって洗うから」と言うんです。私がそれを押し切ってするのがいいかどうか。 娘は「お母さんがいない間に掃除機かけておく」と言うので、私は「7時ぐらいに帰ってくる」と言って出かけ、母のところに行ったり、買い物をしたり、自分の用をすませて8時に帰ってきても「まだ、済んでいない」と言うんです。 ―――ほとんど家を出たことのなかった息子さんが、年末からあなたの実家に住んで、お祖父ちゃんお祖母ちゃんに気をつかっているんでしょう。 息子は何とか過ごしているみたいです。 私はまだ、うちだけは特別なんだと思いますね。(笑) 何でだろうと言ったらいけないんですけどね、やっぱり、それだけ小さい時に心の傷をたくさん作ったのかなあとか、そんなことばかり思います。 娘が小学1年生の頃、夫から叩かれて手の跡が顔に残ったまま学校に行って、友達から「どうしたの」と聞かれて、「お父さんに叩かれた」と言ったりしていたんです。 表面だけ見たら強迫だけど、やっぱりそういうのが積もり積もってそこまで追い詰めてしまったのかなあって(そんなことはありません)。そうすると、やっぱり私が悪いのかなあと(それもありません)、チラッと通りすぎるだけで。だからって遠慮はしていないんですけどね。 ―――今、毎日の生活で一番困ったことって何ですか。 「埃がした」、「洗濯物をここに入れたらだめ」「入ってくるときははたいてきて」などと、そういうのは嫌ですね。 ―――そういう状況は、変わっていないのね。でも、状況は同じでも、あなたのお気持ちは楽になっているようですね。 先々月、先月の例会よりずいぶんお顔つきがとても穏やかでにこにこしておられる。自分の気持ちを通そうとしている感じですか。 はい、私の気持ちを通そうとするから、娘は「前のお母さんとは違う」「前は嫌だと言わなかった」と言うんです。 台所に立っても「お母さんの使った後は、キャベツやなんかが落ちている」と言うから、「そりゃ仕事したら、そうなるよ」と私は言います。 私のすることがいちいちかんにさわると言うんですよ。何か飛んできそうですけど、飛んできたこともありますね、はずれたり、はずしたり。(笑) ―――親の会に行った後は、お母さんは「いやなことは、いや」と言うようになった、今までのように「言いなりにはならなくなってきている」ということを、娘さんが言うわけでしょう。 すごい変化でしょう。そういう風に娘さんから評価されているなんて。 娘さんは親の会に行くお母さんが回を重ねる毎に、で〜んとしてきたと敏感に感じていると思いますよ。あなたからのオーラを感じている。 先月、内沢さんに「旅行に行ってもいいですか」と言ったら、朋子さんが「そういうことを聞くこと自体、おかしい」と言われましたよね。 娘の掃除機も夜中の2時3時の時は、「もう、うるさいからやめてよ」って言います。だからといってやめてくれるわけではないんですね。最初は自分の部屋だけだったのが、今は全部かけているんです。私が帰ってきたら、「また、やり直さないといけない」と、それで疲れて絡んでくる、愚痴を言ってくる、それがいやですね。 ―――あなたはそうやって笑いながら言えるようになったじゃない。 言っていて、馬鹿らしいぐらいです。(笑) ―――先々月や先月はそういう感じじゃなかったですよ。(笑) すごい必死という感じでしたよ。親の会が、待ち遠しくなっているという、そういう気持ちはありますか。 そうですね、あります。だから繋がっていたい、すがっていたい(笑)という気持ちはあります。 ―――とにかく「親の会に行ったら、お母さんちょっと変わってきて私の言いなりにならないみたい」って。 「今までのあなたは、そうじゃなかった」って娘から言われます。 ―――それはよかったです。来月は更にいっそう、その次の月は更にもっといっそう言いなりにならない、それを繰り返していくことです。 娘さんはそういう風に言いなりにならないお母さんを本当のところでちゃんと信頼しています。 周りが言いなりになって、苦しみが減るわけがないことは本人が一番よく知っているからです。 あなたは、朝起きたときにワクワクしますか。 今日は何しようかなって、思います。ワクワクじゃなくても、起きたら、頭の中に今日はこれとこれしようって思うんです。 ―――いろんな条件の中でも、したいということを考えられるようになったのね。 ケーキを焼いたりしています。娘は「台所に立ち過ぎ」、「何でもし過ぎ」って言うんです。(笑) 「もっと外に出て行って」と言うけど、そんな外にうろうろするところもないし。(笑) 家でケーキを作ったり、料理をするのが楽しいんですよ。本を読んだりしていると、娘は「あんた、ほんとに本が好きだね」と言うから、「いいじゃないの」と言います。いろいろけちをつけられるけど、もう、放っといてという感じなんです。 ―――そういうことを言えるようになったんだ。すごいじゃない。 はい、追い出されて玄関先に行っても、本を読んでいたり、洗濯機をまわしながら会報を読んでいます。会報も娘がまず、自分のところから読んで、私に「私のことばかりいろいろ言って」と怒りましたけどね。 ―――で、あなたは平気なの やっぱり、ここで言っていますよね。(笑) 何も私は悪いことをしていないし、それでいいと思っているんです。 ―――親の会に続けてきたら、こんなにも違うのかと思うくらい元気になってきましたね。 参加できない時期が長いことありましたよね。あの時は気持ちがずいぶん落ち込んでいましたね。 でも、あなたは親の会の貯金があるんですね。もっと自分に自信を持って下さい。何年から親の会に来られましたか。 1999年からですから、今年で10年ですね。そんなに言われると自信があるんですけど、ほんとに単純なんですよ。(笑) やっぱりここに来ると、うまく表現出来ないんだけど、みなさんの声を聞くとうれしいし、ホッとするんですね。心にしみてくるものもあるし、10年前のその時も一生懸命でしたけどもね。 ―――ここに来たらホッとする気持ちって、すごく大事ですね。 みなさんから元気をいっぱいもらって、「お母さんは、あなたの言いなりにならないよ」とね。 それは「お母さんは、あなたのこといっぱい愛しているし、信頼しているよ」と言うことと同じです。あなたも必ず娘さんに「ありがとう」が言えますよ。 夕べも、先月の会報の達さんが書かれたところを読んできたんです。分かり安くて、1回だけじゃもったいないと思って何回も読みました。 ―――大事なお話をしてくださり、ありがとうございました。 以下は、例会の10日後のHP掲示板の記事です。 「愛をたくさん・・・」 / 内沢朋子 No.928 - 2009/02/25(Wed) 09:42:27 昨夜、KMさんからお電話をいただきました。 「娘に、お母さんが親の会に行くのは、愛をいっぱいもらいにいくんだよ。それがとってもうれしいの。と言ったんです・・・。」 お話を聞いて、胸が熱くなりました。 KMさんは強迫行動で辛い毎日を過ごしている娘さんと暮らしています。 しかし、例会に回を重ねるうちに、2月の例会では、表情がほのぼのとして、なんだかうれしそうでした。 「状況は変わっていないのですけれど、私の気持ちがだんだん楽になってきて・・・」と言われます。 「親の会に行くと、その日は、どんな話だった? と待っている家族にあれこれ話して、盛り上がるんです。話している私も嬉しくて、聞いている子どもたちも私の両親もにこにこして・・・」 「娘も以前は読めなかった会報や記念誌を読んでいるんですよ」 「親の会と出会えたのも子どもたちのおかげですよね」。 聞いている娘さんの表情が目に浮かびます。 きっと優しさと愛情がいっぱいになっていることでしょう。 「やさしさは、やさしさで」、 お母さんのわが子への愛情と子どもたちの親への愛情が信頼とともに響きあっていきます。 「あなたが、子どもをどうにかしよう、ではなくて、 自分のこととして考えられるようになってきている、 “問題解決の道は自分自身の中にある”ということですね。 自分の安心が広がっていくと、困難だと思うことも、実は大丈夫なんだとちゃんと感じていくのね。」と私。 感動をたくさん、ありがとう! 私も愛をいっぱいいただきました! 親は子どものことは何も「しない」、自分のことをいっぱい「する」 内沢 達 ・・・・・・ちょっと子どもの調子が悪いと、どこか何かが問題なのかと思ってしまう。やっぱり不登校だったからなのかとか、私の愛が本物でないからかとか。(笑) そういうちょっとしたことでも問題だと考えてしまう発想の仕方はおしまいにしませんか。 うちだけがそうだったら、自分の息子、娘だけがそうだったら、なるほど問題かもしれませんが、そうではなく、だいたいどこの家も同じなんですから、そういう発想はやめにしましょう。問題でないことでも問題だと考えてしまうと暗くなるばかりです。 初めての方もいらっしゃいますので、僕の娘のことをまたまた申し上げます。 僕はこんなにも素晴らしい父親なんです。(笑) なにしろ子どもが小さいときから勉強であれ何であれ一切押しつけをしていません。とても理解ある父親なんです。その僕が娘からどれほどひどい言葉をあびせられ続けたか、どれほど拒否され続けたか。それは僕の娘に対する愛が本物でなかったからですか?(笑) 違いますよね。それは、きっとそのとき、娘がちょっと調子が悪かっただけです。他にも少し何かあったかもしれないけど。 娘はもうすぐ誕生日で30歳になりますが、思い出しますね。5年前です。娘は25歳を前にして初めて「お父さん、ありがとう」とこの親の会の新年会で言ってくれたんですよ。 いやー、嬉しかったですね。娘が赤ん坊の頃から、僕は父親として相当やりました。オムツの交換から、オムツがはずれた後のおねしょの始末から、母乳をあたえる以外は、僕がほとんどしました。(笑) いいことはしてもひどいことは何もしなかった。なのに、娘から「くそジジイ死ね」とか「このデブ」とか言われたんです。そういうことってあるんです。僕の愛が足りなかったわけでもないし、娘がおかしかったわけでもありません。 家族だからこそ、基本的には信頼があるからこそ、ときどきそういうちょっとした言いすぎもあったりするということです。 ところで、今日、7年前に僕が書いた資料の一部「負けるが勝ち」をプリントして読みあわせをしていただきました。そのことについて補足させてください。 我々大人は今までいろいろあってもなんとか自分の問題は自分で解決してきました。 子どもも我々のかつてと同じで自分の力でやっていきます。 だから、子どものことで親がすることはほとんどありません。子どもが小さいときはお母さんが家で美味しいご飯をつくってあげたら、それで十分です。それ以外にすることはないと言ってもいいくらいです。 けれども親自身のことですることはたくさんあるんです。そのなかでもとくに大事なことで、このプリントでおすすめしていることは、子どもに「ありがとう」と自分の気持ちを素直に伝えることです。 すでにおっしゃっている方は「もう言ったからいい」ではなく、照れないで何度でも言ってみませんか。まだの方は、まずは一回おっしゃってみませんか。 僕らは、子どもの「つまづき」のおかげで、わが子の不登校や引きこもりのおかげで、“自分を一番大切にして生きる”というとっても大事なことに気づき、実際に実行に移すようになってきました。 ですから、「ありがとう。君のおかげだ」と感謝の気持ちを言葉にするのは当然のことと思いますが、いかがでしょう。 親の会に初めは「子どものことについて考え交流する会なのかな〜」と思って参加された方が多いと思いますが、全然違いましたね。 先月のこせさんのお話ですが、子どもさんに「“自分の会”とか“私の会”に行くの〜」と言って例会に出かけてきたこともあったそうです。なるほどね〜と思います。 親の会は子どもをどうにかしようとする会でないのはもちろんです。さらに「親はかくあるべし」という会でもないですね。 名前はたしかに親の会ですけど、鹿児島の会は、こせさんが話されたように「自分の会」とか「私(僕)の会」といった感じがぴったりかもしれません。 そこで経験を交流しながら、少しずつではあっても僕らは確かに自分自身を大切にするようになってきました。本当に子どもたちのおかげです。 けれども、まだ「子どもに“ありがとう”なんて、とても言えそうにない」という方もいらっしゃると思います。そうした方は、きっとまだまだ自分を大切にしていらっしゃらない。少しはしていてもまだまだ足りないとお考えになったほうがいいのではないでしょうか。 自分の人生の主人公は自分です。そうではなく、世間とか学校とか会社とか、また妻とか嫁とか「主人」とか長男とかいった立場が主人公になっていて、それに自分をあわせるのでは、自分の人生とは言えないのではないでしょうか。 自分を大切にする、自分の人生を大切に生きるとは、わかりやすくはもっと「わがまま」に生きることだと思います。自分の人生なんですから、「わがまま」でまったくかまいません。いや、かまわないどころか「わがまま」でないと自分の人生と言えません。そして「わがまま」になってくると毎日わくわくし、自分の人生を生きるということが楽しくなってきます。 そのきっかけをつくってくれたわが子に「ありがとう」と感謝しないわけにはいきません。 こうしたことはすべて親自身の課題です。もちろん“自分を一番大切にして生きる”ということは子どもの課題でもあり、親が子どものことではなく自分自身のことに一生懸命になっていることは、子どもにも良い影響が予想できます。 けれども、だからこれをやると考えてはまったくおかしい。手段ではありません。子どもに見返りを期待してはうまくいきません。それでは親自身の課題に取り組んだことになりませんし、容易に子どもから見透かされます。 子どもの反応いかんにかかわらず、自身の納得のために取り組む。「ありがとう」と言えたなら、いっぱい自分にハナマルをあげましょう。 鹿児島の親の会の考え方は、「3原則」(異常視しない/言いなりにならない/腫れ物扱いしない)が典型的なように〈ないないずくし〉で、子どものことでは親はなにも「しない」ということをとっても大事にしています。 「しない」ことがじつは「した」ことになっているんですね。親が「しない」でいられるのは、わが子への何よりの信頼の証明だからです。 子どものことはしませんが親自身のことはいっぱいしましょう。子どもとかかわったことでも、それはやはり親自身のことです。その考えでやらないとおかしくなります。うまくいきません。 プリントにあるように、家に帰ってからも親の会でこんなやりとりがあったとかいっぱい話していただきたいと思います。 子どもさんが「そんな話は家でしないでくれ」と言ったときには、「これはあなたのことではなく、お父さんやお母さんのことなの! だから、よかったらちょっと聞いてね」などと続けたらいいと思います。 「親自身のことを一人称で語る」とは、たとえばそういう感じです。 子どもは信頼できます。私たちの会とつながっている子どもたちはとくに信頼できます。KMさんの場合だと娘さんに「たっちゃんがホームページをちゃんと読んでほしいと言っていた」と是非伝えてほしいんです。 僕からそう言われると、KMさんは親として「読んでくれたら、この子も少しおちつくかもしれない」という期待をもつかもしれません。その気持ちを全否定する必要はありませんが、その期待を込めて言ったんではだめです。それだと子どものことになってしまいます。 娘さんがどう受けとめようが、KMさんは親の会に参加してとてもよかった、その自分自身の気持ちの表明として、例会の様子のひとコマとして言ってほしいということです。 お母さんが親の会に参加してとても楽しそうだし、元気になって帰ってくることは、子どもさんにとってもとてもうれしいことです。 ミドリさんの場合も同じです。息子さんはいまはホームページを見てくれていないのかな〜。以前は見てくれていたんじゃないのかな。ミドリさんと僕のところは駐車場と通りをはさんでマンションがとなりどうしです。ベランダから互いの家が見えます。 僕が手術後しばらくして調子が悪くなり夜中救急車で運ばれたことがあります。息子さんはそうしたことも知っていて、深夜でも僕の家に灯りがついていると「また、ウチザワさんは悪いんじゃないの?」と心配してくれたというんですね。 すごくありがたいことです。僕は息子さんからも力をもらいました。おかげさまで僕はとても元気になれました。 その僕からのお返しという面もあります。ホームページの「私は、僕は、今どうしたらいいの?!」という記事は、子どもたちや若者向けに書いています。息子さんに「たっちゃんが是非読んでほしいと言っていた」と伝えていただきたいと思います。 私、自分のこと大好きです! 真衣さん ―――真衣さんは今20歳です。高1の7月で中退し、ゆっくり引きこもって、その後大阪にあるアニメの専門学校へ行き、就職の内定をもらったけど断りました。今年の1月で専門学校を中退・・・というお話でしたが・・・ 真衣さん:そのことですが、中退したいという私の思いを担任へ伝えたら、ケンカになりました。しかし、私の中退するという意志は変わらなかったのでそのままにしていたんです。でも担任は「何かあったら、携帯に連絡して」と言ってくれていました。 私は就職の内定をもらって課題の仕事をしようとしたのですが、体が「これは違うよ」と言っているようで、いうことをきかなくなりました。課題ができなくなったんです。 失恋の痛手や、学校全体が就職活動の最中でみんなに余裕がなかったので、友人の言葉が痛烈なパンチとなって、私を打ちのめしたりということがありました。 ―――結局、内定を断ったのね。 はい、やる気になったふりをしていたけど、このままだと会社に迷惑をかけるというのが分かったので断りました。 学校にもずっと連絡を取ってなかったので、久しぶりに先生の携帯に連絡を入れて、内定を断ったことを知らせました。メチャ怒られるだろうと思っていたけど、全然怒られませんでした。 先生は「これから先、できることがあったら言ってね」と言ってくれて、先生と学校を辞めることでケンカしたとき、自分の気持ちだけを伝えて、相手の気持ちをくみとることができなくて、すごい申し訳なくて、(涙ぐむ)「先生、ごめんなさい」と言ったら「いいんだよ」と言ってくれたから、すごく嬉しくて・・・。 卒業式には行かないけど、卒業証明書だけもらえることになりました。 ―――今、真衣さんは家にいるけど不安はないの? はい、全然ないです。 ―――良かったね。(はい) 先ほど、将来が決まってない子や引きこもりの子は不憫という話が出たけど。(笑) 私は中学生のときに突然学校に行けなくなったんですが、親が私のことを気にしているのが分かったし。そうすると、何をしてもいけない気がして(涙ぐむ)、親のせいではなくて自分が自分を否定しているから・・・、親の不安も分かるから・・・。 ―――お母さんを悲しませて悪いなあと自分を責めてしまったのね。 はい、そうです。私が学校に行けないことがすごく辛いから、ずっと「ああ、ごめんなさい」と思って、一日を過ごしていたなあと思って・・・。今思うとメチャ懐かしいです。(笑) 私が不登校になった時はとても辛かったけれど、この会に来て「ああ、私はこのままでいいんだな」と思えるようになりました。 私が高校を辞めたときは地に足が着いてなくて、玲子ちゃんや愛美ちゃんと会ってとても楽しくて、その時は頭で思ったことを行動に移せるようにと頑張っていたみたいです。 あの何年か前と今とでは全然違うんです。頑張らなくてもそのままでいいんだなと、だんだんその思いを形にしていってるなあと思えてきて・・・(涙ぐむ) ―――学校に行っていないとき、家にいて何もしていないとき、その時は何もしていないことが、実は素晴らしいことをしているんだよね。 そうですね。実は父親に内定を断ったことを一番言えなかったんですよ。 ―――ご両親が離婚されて、お父さんと別々に暮らしているのね。 私の成人式のとき、着物姿を父親に見せたくて会いました。 その時はもう就職しない、と心に決めていたけど、父親に言えなくて・・・。なんとなく就職したくないなあとは言っていましたけど。 すると父は「そんなことじゃ、いかんがねえ」と言いました。 だからと言って父が私のことを嫌いになったわけじゃないし、今では、そんなふうに気持ちを切り変えられるようになりました。と言っても、さっき変わったんですけどね。(大笑) みなさんの子どもを想うお話を聞いていてそう思えました。(笑) 今、父から携帯に返事が来なくても、今までは返事が来ないとオロオロしていたけど、今は冷静に今の状況を見られるようになりました。 仕事はまだやってもいないけど、失ったけど、(笑)また、いろいろ全部から離れて、冷静に見られるようになったお陰で少しは成長したような・・・。 ―――真衣さんは自分が大好きですか? はい。でも、もっと好きになりたいと思います。 最近星を観ています。 今は毎日図書館に行って本を読んだり、今まではお花とか全然興味がなかったのに、かわいいなと思ったり。(笑) 私の家の犬は昔からかわいいと思っていたけど、今はもう「かわいいなあ、かわいいなあ」と思います。以前は何でこううるさいのかと思っていたけど、犬がうるさく吠えるから、ドロボーも入らないんだなと思えて・・・(笑) この前、先月の例会で自分の話したところを会報で読んで、ものすごい言葉を発見したんです。私を傷つけた元カレのことについてひどい言葉でバアーッと叫んでいたんです。 その時、トモちゃんに「家族みんながそれを受け止めてくれたんだよね」と言われて、私は「ハッ」としたんです。ああ、そうだ、そうだと思って。 家族でも大変だったと思うけど、それを受け止めてもらえたことが、何か私はこんなに恵まれていたんだと気がつきました。そして申し訳なかったと今までのことが思い出されて・・・、嫌な言葉はもう思い出したくないし、言いたくないなと思いました。(笑) ―――とってもいいお話でしたね。我が子を想う親の気持ちと、親を想う子の気持ち、命はかけがえのないものだ、どんな人生も素晴らしいんだと、発見してもらえたらと思います。 なずなさん(母):今の娘の話を聞いていて、高校中退後は地に足が着いていなかったと、ああ、そうだったのかと思って。 あの頃は楽しそうにしていたし、高校を辞めてよかったんだと思っていたけど、何年も経って振り返ってみると、その積み重ねが人生を作って今があるんだなと分かりました。 最初この親の会に来たときに朋子さんから「不登校になってよかったね」と言われました。最初の頃はよく分からなくて、でも毎回参加していろんなことを教えてもらって助かりました。 その頃の私は身も心もボロボロの状態でした。夫とのストレス、子どもの不登校とか、いろいろある中で「そうなるのは当たり前だよ」と言ってくださったのが嬉しかったです。 当たり前のことを当たり前だよと言ってくれることにすごくホッとして。 私も娘に「不登校になるのは当たり前だよ」と言ってやるべきだったのに、その当時は分からなくてオロオロするばかりで、いつも娘の様子を伺っていたんだなと思います。 最近は色んな勉強をしたせいか娘にはあまり関心を持たなくなりました。(笑) 先日、娘が絵を描いていたんです。内定を断る前までは、泣いて絵が描けなかったのに。「元気になったなあ」と思ったけど、それを言うと娘が嫌がるだろうと思って黙っていました。(笑) 今日も描いていたので、「ああ、描いているね」と言ったら、娘はうるさそうにしていました。(笑) 最近、私は自分に関心が出てきました。 ―――すごいじゃないの。あなたは真衣さんが内定を断っても、何とも思わなくなったのね。 はい、娘が自分で電話を掛けて断ったので良かったなあと思って。そうなるだろうと思っていましたので。 ―――以前はそうではなかった。(笑) こんなふうにしてちゃんと安心がいっぱいになっていくのね。 |
Last updated: 2009.3.28
Copyright (C) 2002-2009 登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島)
(http://www.futokokagoshima.web.infoseek.co.jp/)
futokokagoshima@yahoo.co.jp